地域創造と複数の公共ホールの連携により、1つのカンパニーが地域に滞在してアウトリーチと公演を行う「公共ホール演劇ネットワーク事業」。平成22年度は兵庫県立ピッコロ劇団の『さらっていってよピーターパン』を全国3カ所で上演し、同劇団員が演劇の手法を使ったアウトリーチを各地で実施します。9月14日、15日に参加ホールの担当者を対象に、平成22年度の事業実施に向けた企画準備会議を開催するとともに、研修会を地域創造の会議室で行いました。
この研修会は、アウトリーチと上演作品を深く理解するため、参加ホールの担当者が作品の内容やコンセプトを演出家から聞き、ワークショップを受講し、それをもとに各ホールがアウトリーチの方向性や作品の宣伝方法を考えます。
まず、演出家の森田守恒さんからファミリー向けの冒険ファンタジーであるこの作品の内容について丁寧に説明を受けるとともに、森田さんの「保護者の方にまず喜んでもらえる作品にしたい」「子どもの頃から本物を提供したい」との考え方を伺い、ホール担当者も作品を深く考える時間となりました。その後、演出家の森田さんと兵庫県立ピッコロ劇団俳優の平井久美子さんのワークショップをホール担当者が実際に体験し、コミュニケーションの大切さ、伝えることの難しさ、演ずることの難しさなどを実感する機会となりました。ホール担当者からは、「子どもの気持ちになって楽しめた」「みんなとの距離がワークショップで縮まった」など、実際にコミュニケーションがスムーズになったことや、他者を意識することの重要性などの感想が聞かれました。また、演劇のアウトリーチに対する認識を共有化する作業、アウトリーチプログラムを具体的に考え掘り下げる作業、上演作品の広報・宣伝活動等、つくり手側の考え方とそれを届けるホール側の環境や考え方を共有しました。
演劇のアウトリーチと作品の上演が両輪となるこの事業では、作品がつくられた背景を知り、アウトリーチの手法を理解した上で学校などに届けるということを再認識した、有意義な2日間となりました。
来年度、この企画準備会議および研修会で得たことが参加ホールで活かされることが期待されます。
●公共ホール演劇ネットワーク事業に関する問い合わせ
芸術環境部 大垣・大林
Tel. 03-5573-4124