4月13日に公共ホール演劇ネットワーク事業の事業説明会、翌14日に演劇セミナーを開催しました。今回の説明会では事業参加希望の20団体に対してカンパニー候補を有する公共ホール3団体からプレゼンテーションが行われました。また、セミナーではこの事業に対する理解を深めていただくことを目的に、昨年度の取り組みについて具体的に学ぶとともに、演劇だけではないアウトリーチの取り組みについても学びました。
まず、平成20年度のカンパニーとして選ばれ、『なつざんしょ』で全国4か所に滞在して事業を実施した南河内万歳一座の劇作家・演出家の内藤裕敬さんから、演劇の手法を使った学校でのワークショップの難しさや可能性についてお話いただきました。ホールで希望者を対象に行うワークショップと異なり、演劇に興味のない生徒を前にしてどのようにアプローチするかについて、そのための、ワークショップスキルが必要というのではなく「表現することを本業としているものとして作品を発表することの積み重ねの上で養われていくもの」と言われていたのが印象的でした。
ミュージアムエディケーション・プランナーの大月ヒロ子さんからは、国内外の美術館で行われている演劇を取り入れた事業について紹介していただきましたが、演劇と美術、ホールと美術館といった、ジャンルを越えた連携のヒントが沢山ありました。また、公共ホール音楽活性化事業の登録アーティストOBのBBBB(ブラック・ボトム・ブラス・バンド)のヤッシーさんからは、音楽のアウトリーチの経験談として継続することの重要性について紹介していただきました。美術や音楽の視点からホールと事業を捉え直すという、いつもにない視野の広さが生まれたのではないでしょうか。
公立ホールがプロデュースする公演という観点からは、(財)神奈川芸術文化財団の伊藤文一さんから同財団がレパートリーとして継続的に上演を続けている『親指こぞう』の事例を紹介していただくとともに、まつもと市民芸術館の蔭山陽太さんと北九州芸術劇場の津村卓さんから劇場プロデュースについてコメントをいただきました。公立ホールが演劇事業を行うことの可能性についてさまざまな角度から検討できた1日となったのではないでしょうか。