一般社団法人 地域創造

平成21年度「公共ホール現代ダンス活性化事業」全体研修会終了

新年1月5日、6日に公共ホール現代ダンス活性化事業(ダン活)の21・22年度登録アーティストによるプレゼンテーションが東京芸術劇場リハーサル室で開催されました。

ダン活では、実際に地域で事業を実施するまでに、事業に参加するホール職員を対象にした2度の研修会が企画されています。1度目は昨年11月に実施された、コーディネーターを講師として迎えた基礎知識研修です。今回が2度目の研修会で、登録アーティストによるプレゼンテーションと、各館の企画についてコーディネーターを交えた意見交換会が行われました。

ダン活がスタートして3期目となる21・22年度の登録アーティストには8組が参加しています。新進振付家の登竜門と言われるトヨタコレオグラフィーアワードの大賞受賞者が3組、2度目の登録となる実力派のアーティストが4組。加えて注目の若手アーティストも参加するなど充実した陣容で、2日間にわたって行われたプレゼンテーションも三者三様の面白いものとなりました。

日本の舞踏や演劇などの身体表現に多大な影響を与えた野口体操(*)を学んだ新井英夫さんは、身体を揺らしながら懐中電灯を使って光の軌跡を描く演劇的なパフォーマンスを披露。ポップなビジュアルとユーモアに富んだダンスが持ち味の珍しいキノコ舞踊団の伊藤千枝さんは「スキンシップを忘れがちな人たちにその素晴らしさを再確認してもらいたい」と、二人が小指の爪と爪を合わせるところから始めるスキンシップ・ワークショップで笑いを誘っていました。

ワークショップ参加者や現地の美術家、音楽家などとセッションをしてオリジナル作品をつくりたいというBABY-Qの東野祥子さん、“遊ぶ×つくる×踊る”をコンセプトに鬼ごっこや旗揚げ遊びを使って身体遊びをするキリコラージュ、まるで身体が綱引きされているような緊張感あるパフォーマンスを見せた金魚の鈴木ユキオさん、見えない箱を探しながらなぞるという動きからダンスを立ち上げて見せたコンテンポラリーダンス界のゴッドマザー・黒沢美香さん、子どもたちを会場に呼び込むウェルカムダンスを披露したセレノグラフィカ、留学中のイタリアからビデオレターでプレゼンテーションした楠原竜也さんと、いずれ劣らぬ充実したプレゼンテーションとなりました。

 

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写真
左上:新井英夫さんによる光の軌跡を描くパフォーマンス
右上:パフォーマンスについて解説する鈴木ユキオさん
左下:ゼミの様子

 

●平成21年度「公共ホール現代ダンス活性化事業」概要


◎実施内定団体

北海道鷹栖町、岩手県一関市、山形県白鷹町、東京都八王子市、山梨県笛吹市、長野県茅野市、岐阜県可児市、兵庫県朝来市、和歌山県和歌山市、広島県廿日市市、鹿児島県鹿屋市


◎登録アーティスト(平成21・22年度)
新井英夫
伊藤千枝
楠原竜也
黒沢美香
鈴木ユキオ
東野祥子
キリコラージュ(ストウミキコ+外山晴菜)
セレノグラフィカ(隅地茉歩+阿比留修一)
*五十音順、ソロ・デュオの順


◎コーディネーター(五十音順)
菊丸喜美子(株式会社CAN代表取締役)
佐東範一(NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク代表)
志賀玲子(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授)
堤康彦(NPO法人芸術家と子どもたち代表)
花光潤子(NPO法人魁文舎代表)
平岡久美(Dance in Deed!代表)


◎問い合わせ
芸術環境部
大澤・下元・坂間・永岩・渋谷
Tel. 03-5573-4077


*野口体操
体育教師だった野口三千三が、1960年代に体操による人間改革を目指して創始した実技。「生きている人間のからだは、皮膚という生きた袋の中に、液体的なものがいっぱい入っていて、その中に骨も内臓も浮かんでいる」という独自の人間観に基づいて提唱された野口体操は、体操界では異端視されたが、演劇、美術、音楽など芸術の世界に多大な影響を与えた。

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