一般社団法人 地域創造

「ステージクラフト~舞台技術ワークショップ」終了報告

 「ステージクラフト」は、平成9年度から彩の国さいたま芸術劇場との共催により実施しているもので、舞台・照明・音響などの舞台技術に関する基礎を実際の舞台を通じて実習するものです。今年度は、6月9日から12日まで開催され、最終日には高齢者演劇集団「さいたまゴールド・シアター」の協力により、話題の舞台『95kgと97kgのあいだ』の一部を実際にオペレートするという贅沢なプログラムとなりました。
 1日目、2日目は受講者全員で舞台技術全般についての基礎を学び、3日目、4日目は本番のオペレーションに向けて、舞台・照明・音響に別れて専門実習が行われました。
 今回のステージクラフトで初めて行われたのが、基礎講座の冒頭で企画された「安全管理」についてのシンポジウムです。指定管理者制度への移行で改めて劇場の安全管理が問われていることもあり、新国立劇場の伊藤久幸さん、まつもと市民芸術館の馬場道雄さん、びわ湖ホールの押谷征仁さんという第一線の技術者にお集まりいただき、現在、作成が進められている「安全管理ガイドライン」についての取り組みや、舞台技術者としての心構えについて議論が行われました。
 ガイドラインには、「責任の所在を明らかにする」「高所作業・暗所作業などの危険を伴う作業について共通認識をつくる」「用語・書式を安全な方式に統一する」の3点が盛り込まれる予定とのこと。伊藤さんは、「劇場空間は自由に演出できるべきで規制されるべきではない、と言われることがある。僕自身もモノをつくっているのでそれについては理解している。このガイドラインは規制を目的にしているのではなく、フルスピードで走るためにつくっている。ローカルルールは絶対にあるので、それを加味してこのガイドラインを活用していただければと思う」と話されていました。
 最終日、出演者総勢約80名がダイナミックな群衆劇を演じる本番に参加するという緊張したオペレーションを体験した受講生たちは、「ひとつの芝居がこんな風につくられていくことを初めて知りました。ホール職員の意識の高さを地元にもち帰って伝えたい」「カーテンコールでは胸が熱くなった。この空気感があるから自分は仕事を続けているのだと再確認できました」と興奮気味でした。

 

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