公共ホールの職員を対象とした「ステージクラフト~舞台技術ワークショップ~」が9月25日から28日まで、彩の国さいたま芸術劇場で開催されました。埼玉県芸術文化振興財団と地域創造との共催事業として11年目を迎えた今年度は、劇場クラウン集団「オープンセサミ」のRONE&Gigi(ロネとジージ)出演の作品『クラウンのいる風景』を題材に、全国から集まった30人の参加者が舞台技術の基礎を学びました。
上演作品づくりにスタッフとして直接参加するのがステージクラフトの特徴です。初日に作品成立の背景や演出プランについて説明を受け、舞台、照明、音響の仕込みやオペレートの実習を行いました。そして、最終日には3回のリハーサルで、参加者全員が舞台、照明、音響すべてのオペレートを体験しました。
盛り沢山のプログラムを支えるのは彩の国さいたま芸術劇場の技術スタッフです。丁寧な対応と、一つの目標に向かって出演者と一丸となって進んでゆく姿に、参加者からは「講師・スタッフのプロ意識、情熱、温かさにふれた」「妥協することなく、良いものをつくろうとする意志を感じて感動した」という言葉が聞かれました。
舞台の経験のない方も多く、慣れない現場作業に戸惑う参加者も見受けられましたが、プログラムが進むうちにホールの中に本番に向けた高揚感が満ちてきて、張りつめた空気の中で臨んだ最終日のリハーサルを終えた時、参加者から自然と沸き上がった拍手が印象的でした。リハーサル出演を終えたRONE&Gigiのお二人からは「このまま本番のオペレートをしてほしいくらい」というコメントをいただくなど、関係者全員が心を一つにして作品に関わることが出来た4日間でした。
すべてのゼミの修了後、参加者から感想が発表され、「専門外の技術を学べる貴重な機会だった」「慣例にとらわれることなく、広い視野をもってより良いホール運営に携わってゆく契機になった」「制作も含めた各スタッフ間の連携が必要だと実感できた」「技術方の苦労がわかった」「ここで出会った人たちのネットワークを活かしていきたい」という声が聞かれました。最後にホールのホワイエで開催した打ち上げ会での尽きない会話と笑顔に、濃密な4日間を過ごした関係者全員の達成感が伝わってきました。