今年は新たな大型企画もいくつかスタートし、フェスティバル・シーンが活気づいています。まず、北海道では、札幌市のクラシック専用ホールKitaraの10周年記念バースデーコンサート(7月4日)を皮切りに、45公演が行われる恒例の「パシフィック・ミュージック・フェスティバル2007」(7月7日~8月1日)に加え、今年から新しく「サッポロ・シティ・ジャズ2007」(7月21日~8月5日→P4参照)がスタート。公園の特設テントなどで連日ライブが行われるなど、夏の音楽祭が冬のスキーに匹敵する観光の目玉になりそうです。
民間プロモーターの主催ではありますが、“みんなで朝日を見よう”を合い言葉に、石狩新港の特設会場で1999年から行われているオールナイト・ロックフェスティバル「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2007 in EZO」(8月17日、18日)も6万人以上が訪れる大イベントとして定着。豊かな自然の中で行われるだけに、ボランティアと協力しゴミを13分類するなど、環境に配慮した運営は有名で、NPOが多彩な企画を行うオルタナティブ・エリアの取り組みと合わせて新しいフェスティバルのあり方が提案されています。
昨年は、10年プロジェクトの最終年として開催された「大地の芸術祭~越後妻有アートトリエンナーレ」で大いに賑わった新潟ですが、事業の継続も決定し、新たな運営体制として来年4月の設立を目指した「NPO法人越後妻有里山協働機構(仮称)」に向けた動きが始まっています。今夏は準備の一環として、「2007夏 越後妻有 大地の祭り」(8月1日~9月2日)と題し、約1カ月にわたり、空き家を使った人気の作品など恒久作品160点を巡るツアーやワークショップなどが企画されています。また、全国の公立ジュニアオーケストラ9団体、約1000人が集う3年に1度の「ジュニアオーケストラ・フェスティバル2007」(8月19日)も新潟で開催され、太鼓集団鼓童による佐渡島のフェスティバル「アース・セレブレーション2007」(8月17日~19日。これまでの人気出演者によるコンサートのほか、薪能のプレイベントや4月にオープンした太鼓体験交流館でのワークショップなど)も20周年を迎えるなど、新潟は今年も文化関係者の注目を集めそうです。
現在、芸術文化の創造性を活かして、地域の産業構造の刷新を図る「創造都市」という考え方がクローズアップされています。そうした政策のトップランナーであり、文化芸術創造都市づくりを宣言している横浜市で昨年からスタートしたデジタル映像の祭典「ヨコハマEIZONE2007」(7月28日~8月5日)が今年も歴史的建造物を活用して開催されます。同じく、音楽産業の振興によるまちづくりを打ち出している沖縄市では、その拠点となる「ミュージックタウン音市場」(ホール・スタジオ・商業施設の複合施設)が7月27日にオープン。また、市内各所の会場を使って親子のための大規模な演劇フェスティバル「キジムナーフェスタ」(7月21日~29日)も行われます。“産業”と“文化”と“まちづくり”の接点としての新たなフェスティバルの動向に注目が集まりそうです。