一般社団法人 地域創造

平成20年度演劇ネット・セミナー終了報告

 平成20年度から装いも新たにスタートする「公共ホール演劇ネットワーク事業」の事業説明会(4月23日)に合わせ、翌24日に「演劇のアウトリーチ」をテーマにしたセミナーを3名の講師を招き、東京・赤坂の地域創造オフィスで開催しました。参加された皆さんから「公共ホールとしてアウトリーチを行うに当たり基本的な考え方を理解した」「優先順位がはっきりした」という声が聞かれるなど、充実した内容となりました。
  ゼミ1「学校で実施するアウトリーチ」では、平田オリザ氏(劇作家・演出家)に、なぜ公共ホールが演劇をツールにして学校でアウトリーチを行うのかについてお話しいただきました。アウトリーチを実施する目的、対象、地域のことを知る必要性、他事業との連動など基本的なことから海外の事例までを紹介、アウトリーチの未来像を展望していただきました。
  ゼミ2「学校とのコミュニケーション」では、堤康彦氏(NPO法人芸術家と子どもたち代表)が学校とアーティストを結ぶ役割について解説。相手(学校)の立場に立って考えることの大切さや学校が求めていること・求めていないこと、先生が気づいていること・いないことを見極める作業がアウトリーチを成立させる大切な要素であり、終了した後には必ず校長先生や担任の先生から感想を聞くことを忘れないことも重要だと指摘されていました。
  ゼミ3「シニア世代へのワークショップ」では、芹川藍さん(演出家・俳優・劇団青い鳥)が、各地で行ったワークショップの経験談から、外出をあまりしなかった80歳代の女性が演劇のワークショップを経験してから活発な生活を送るようになり、88歳で絵の個展を開くまでになったという事例を紹介。演劇を通して新しい地域づくりを行うことは、公共ホール演劇ネットワーク事業の目指す役割の一つですが、高齢者がこうした経験をきっかけに新しい生きがいを見出すことは、地域づくりの第一歩だと改めて実感することができました。

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