全国各地の実力派劇団を紹介する「リージョナルシアター・シリーズ」が3月8日~11日、東京芸術劇場小ホール1とにしすがも創造舎特設劇場で開催されます。本シリーズは地域創造と東京国際芸術祭との共催で1999年にスタート。昨年度までは、地域を拠点に活動する劇団等の本公演を東京で上演してきましたが、今年度からはより充実した作品づくりをバックアップすることなどを目的に「リーディング公演部門」と「創作・育成プログラム部門」の2部門制で開催します。
◎リーディング公演部門
成田から芝居工場わらく、京都から魚灯、大阪から南船北馬一団、長崎からF’s Companyが参加。1週間東京に滞在して稽古を行った後、リーディング公演を実施します。各劇団の劇作家にはプロの劇作家がアドバイザーとして戯曲の創作段階からアドバイスを行い、作品の充実を図ります。丁寧に仕上げられた作品にご期待ください。
◎創作・育成プログラム部門
初年度に当たる今年は、過去の参加団体の中から事務局推薦された北川徹がプロデュース公演を創作します。2001年にTPS(札幌)としてこのシリーズに参加。独特の劇空間を織りなす北川が、5人の役者をいくつもの人物に仕立て特設劇場の空間を不思議な劇世界へお連れします。
◎今年のミーティングテーマは「戯曲の力」
演劇関係者が集う「リージョナルシアターズ・ミーティング」。今年は「戯曲の力~リーディング公演を前にして~」と題し、戯曲を書くこと、戯曲のもつ力とは何かについて劇作家である北村想氏、平田オリザ氏、佃典彦氏、編集者の立場から小堀純氏をパネリストに迎えお話をうかがいます。どなたでも参加できますので、関心のある方は担当までお問い合わせください。
リーディング公演部門 (東京芸術劇場小ホール1)
●芝居工場わらく(成田)『生まれる未定』
[日程]3月8日(木)15:00、10日(土)17:00
[作]岩脇忠弘 [演出]勝俣稔 [出演]金子マリア、内谷正文 [アドバイザー]佃典彦
◎2004年6月、代表で演出を務める勝俣稔を中心に結成。千葉県成田市を活動拠点に、東京でも精力的に活動。第6回成田演劇フェスティバルに参加し、オリジナル作品「『てのひら弐』~はっはしくしく奮闘記~」で旗揚げ公演。以後、オリジナル以外に岸田國士や菊池寛などの作品を上演している。また都内ジャズクラブなどでリーディング公演を行い、好評を得る。劇作を手がける岩脇忠弘の処女作「『てのひら』~活版印刷工場のひとびと~」は第4回AAF戯曲賞の最終候補に残る。
●魚灯(京都)『静物たちの遊泳』
[日程]3月8日(木)19:00、10日(土)13:00
[作・演出]山岡徳貴子 [出演]武田暁、豊島由香、山本麻貴ほか [アドバイザー]岩松了
◎1999年からユニットとして活動を始め、2003年に劇団として活動を開始。作・演出を担当する山岡徳貴子は02年『祭りの兆し』で第8回OMS戯曲賞佳作を受賞。その作風は、人間の内面をえぐる残酷さとそれを笑い飛ばす愛とユーモアに溢れ、テンポの良さと緊迫感漂う上演により評価を得ている。また俳優陣も武田暁が第4回関西現代演劇俳優賞奨励賞を受賞するなど、その実力が認められている。
●南船北馬一団(大阪)『ななし』
[日程]3月9日(金)15:00、11日(日)17:00
[作・演出]棚瀬美幸 [出演]藤岡悠芙子、谷弘恵、片桐慎和子、金明玉、上瀧昇一郎、湯浅崇(未来探偵社) [アドバイザー]北村想
◎1996年旗揚げ。97年より主宰の棚瀬美幸が作・演出を務める。年2本ほどのペースで作品を発表し、2001年に発表した『帰りたいうちに』で、第7回劇作家協会新人戯曲賞大賞を受賞。“現実感を失った時代におけるリアル”を多彩なスタイルで描く。棚瀬は06年8月までの1年間、平成17年度文化庁新進芸術家留学制度研修員としてドイツ・フォルクスビューネ劇場に留学。本作が帰国後一作目となり、その成果が注目される。
●F's Company(長崎)『ロン通り十三番地』
[日程]3月9日(金)19:00、11日(日)13:00
[作・演出]福田修志 [出演]A・ミッチー、篠崎雅、松本恵、村岡崇大、末永都、山口裕嗣、飯島亮子、加賀田浩二(飛ぶ劇場) [アドバイザー]平田オリザ
◎長崎市を拠点に、作・演出の福田修志を代表とした20歳代~30歳代の役者・スタッフで構成。社会の出来事と人間心理の関連性を描いた作品や、方言を用いて、長崎の街をモチーフに賑やかさの陰に潜む過去や矛盾を描き出す作品をつくり続けている。2005年北九州演劇祭コンペティション部門に出場、公演ごとに多彩な表情を見せる。長崎市主催の市民参加舞台にも深く関わり、06年『宮さんのくんち』(作:山之内宏一)では福田修志が演出を務めた。
創作・育成プログラム部門 (にしすがも創造舎特設劇場)
●北川徹(札幌)『浮力』
[日程]3月9日(金)19:30、10日(土)15:00/19:30、11日(日)16:00
[作・演出]北川徹 [出演]猪熊恒和、下総源太朗、多門勝(THE SHAMPOO HAT)、足立信彦、稲毛礼子 [アドバイザー]宮城聰
◎1971年兵庫県生まれ。劇作家・演出家・俳優。93年ロンドンマイムスクールでパントマイムを学び舞台の世界へ。大学卒業後、会社勤めを経て98年札幌でHAPPを旗揚げ、以降札幌を拠点に活動。劇団外部への演出・書き下ろしも多数。主な作品に『遊園地、遊園地。』(TPS北海道演劇財団/リージョナルシアター・シリーズ参加)、『明日はきっと朝ねぼうしない僕らの学校物語』(札幌市こどもの劇場やまびこ座)、『静かなうた』(流山児事務所)など。03年『うみ。やま。ひと。』(HAPP)で日本演出者協会若手演出家コンクール審査員特別賞受賞。
●リージョナルシアターズ・ミーティング「戯曲の力~リーディング公演を前にして~」
[日時]3月8日(木) 13:00~14:30
[会場]東京芸術劇場 中会議室
[参加費]無料
[参加方法]事前申込制
[パネリスト]北村想(劇作家)、平田オリザ(劇作家)、佃典彦(劇作家)、小堀純(編集者)
[司会]岡野宏文(ライター、エディター)
●リージョナルシアター・シリーズに関する問い合わせ
芸術環境部 大垣・倉田
Tel. 03-5573-4077