一般社団法人 地域創造

「第7回地域伝統芸能まつり」のご案内

今年のテーマは日本独自の感情「もののあはれ」

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 日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介している「地域伝統芸能まつり」。今年もいよいよ2月24日、25日の両日、東京・渋谷のNHKホールで開催されます。
 今年のテーマ「もののあはれ」は、日本人の感受性の原点です。自然や人とのふれ合いの中にそれを感じ、その中にある喜びや哀しみの感情は、多くの祭を生み出すエネルギーになってきました。そんな「もののあはれ」にまつわる演目を、全国12の地域伝統芸能と古典芸能を中心にご紹介します。
 地域伝統芸能のうち、1日目に登場する山口県下関市の「先帝祭」は、壇之浦の合戦で源氏に敗れた平家が短い栄華の夢を終え、わずか8歳で入水した平清盛の孫・安徳天皇を弔うために、その命日に上臈に身を落とした平家の女官が参拝したことに始まったものです。
 2日目には宮崎県「椎葉村の作業唄」が登場します。椎葉村には「ひえつき節」などの労働歌が残っています。これは平家の落人伝説と結びつき、全国に広まりましたが、歌謡曲化した有名なメロディーとは一味違う「正調ひえつき節」をひえつきの作業とともに披露します。
 また、今回が初めてとなる岡山県からは、素戔嗚尊の大蛇退治の神話に基づく舞を披露する「備中神楽」(高梁市)、同じく初登場の香川県からは、長さ35mほどもある大きな竜が練り歩く「仁尾竜まつり」(三豊市)が登場します。
 このほかにも、平家の落人の哀愁漂う「五箇山の歌と踊り」(富山県南砺市)、蝦夷地という荒い波濤の中で生まれたといわれる「江差追分」(北海道江差町)、地上5mに渡した2本の青竹の上で舞う「木ノ本の獅子舞」(和歌山市)、東京からは八丈島の「八丈太鼓」など、さまざまな伝統芸能が登場します。
 古典芸能では、『平家物語』の源頼政による鵺退治の逸話から採られた正体不明の怪物の物語、「半能『鵺 白頭』」が登場。また第1回以来の登場となる琵琶では、須田誠舟による「平家物語より『祇園精舎/先帝後入水』」の演奏。そして山本則俊、山本則重による、哀れではあるものの少しユーモラスな狂言「節分」が登場します。また日本舞踊 清元 申酉では、藤間紫が粋な芸者の舞を披露します。
 また、ホールロビーでは、地域を紹介するブースが出展され、各地域の情報発信や物産品の販売などが行われる予定です。
 なお、観覧ご希望の方は、葉書またはインターネットで下記の方法に従ってご応募ください(締切:1月31日必着)。

プログラム紹介(予定) *演目は変更される場合もありますのでご了承ください

第1日

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東京都/八丈島八丈町 「八丈太鼓」

八丈島の文化は、流人、漂流民等との交流から生まれたものも多く、八丈太鼓もその一つであるといわれ、剣を取り上げられた流人たちが、2本のばちに望郷の思いを託して打ち鳴らしたのが、八丈太鼓の始まりと言い伝えられています。

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山口県/下関市「先帝祭」

先帝祭上臈道中(じょうろうどうちゅう)は、上臈に身を落とした平家の女官が、安徳天皇の菩提を弔うために参拝したことが始まりといわれています。毎年5月3日に赤間神宮で行われ、同時に行われる「しものせき海峡まつり」と共に下関を代表する年中行事の一つです。

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和歌山県/和歌山市「木ノ本の獅子舞」

毎年10月、木本八幡宮の祭礼に奉納され、500年以上の伝統があります。地上での舞と地上5mに渡した2本の青竹の上での舞があり、獅子が生まれたばかりの子を谷底へ蹴落とす型や、這い上がって来る我が子を待ちながら谷底を覗く型をアクロバティックに演じます。

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山形県/山形市「山形花笠まつり」

昭和38年、地元に伝わる花笠音頭に新たに振付を加え、パレードを開催して以来行われています。8月5日~7日の3日間、約1万人の踊り手が「ヤッショ マカッショ」の掛け声とともにメインストリートに繰り出し、観客百万人を集める東北を代表する夏まつりです。

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埼玉県/久喜市「久喜の堤燈祭り」

久喜の堤燈祭り「天王様」は、220余年の歴史と伝統を誇る旧久喜町の鎮守、八雲神社の祭礼です。毎年7月12日と18日に6台の山車が、昼は人形山車として、夜は約500個の堤燈を飾りつけた堤燈山車として、鉦や太鼓のお囃子に合わせて市内を曳き廻されます。

古典芸能 平曲(平家琵琶)「平家物語より 祇園精舎/先帝御入水」

平家物語は元来、琵琶という楽器を伴奏として語る語り物音楽の詞章でした。今回は平家物語全巻を通じて流れる思潮を端的に表現した名句「祇園精舎」と、壇ノ浦における安徳天皇御入水の場面「先帝御入水」を取り上げます。 [出演]須田誠舟

 

古典芸能 狂言「節分」

節分の夜、夫が出雲大社に詣でている間、一人で留守番をしている妻のところへ、蓬莱の島から鬼がやって来ます。その妻に一目ぼれした鬼は彼女の気を引こうと歌を歌ったり、踊りを踊ったりと涙ぐましい努力をします。しかし鬼の誘いに乗るつもりのない妻は……。 [出演]山本則俊、山本則重

 

古典芸能 半能「鵺 白頭(ぬえ はくとう)」

平家物語の源頼政、鵺退治の逸話から採られた正体不明の怪物の物語。猿の頭、狸の胴体、虎の手足、尾は蛇という異形の鳥が頼政に退治されうつほ舟に入れられ、淀川に流される哀れな様を描きます。今回は半能形式で、後半部分をご覧いただきます。[出演]金剛永謹ほか

 

第2日

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北海道/江差町「江差追分」

江差に運ばれた追分節は、当時の流行唄(ケンリョウ節や三下り)とあいまって江差追分節になったとされ、北国の風土と厳しい自然にもまれ、多くの先人たちに歌い継がれて独特の哀愁を帯びた節が完成されました。現在「江差追分全国大会」が毎年9月に開催されています。

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岡山県/高梁(たかはし)市「備中神楽」

古事記、日本書紀の神話を元につくられた荒神の魂を鎮めるための荒神神楽を起源にしています。現在では、毎年10月に五穀豊穣、家内安全を祈り、また秋祭りのクライマックスを飾る庶民の娯楽として、備中地方一円で夜を徹して舞われています。

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宮崎県/椎葉村「椎葉村の作業唄」

当地に伝わる落人伝説と結びつき、那須大八郎宗久と平家の鶴富姫の悲恋物語が唄われ全国に広まった「ひえつき節」。しかし、この唄は元々単調な重労働を乗り切るリズム唄でした。今回は民謡の宝庫といわれる椎葉村の労働歌を紹介します。

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岩手県/奥州市「江刺鹿踊り群舞」

江刺鹿踊りは「太鼓系鹿踊り」で、鹿角の頭を被り、背には長いささらを付け、締め太鼓をダイナミックに打ち鳴らし、自らが唱える念仏調の歌に乗って勇壮に舞うのが特徴。群舞では江刺区内の鹿踊団体が流派を超え一斉に太鼓を打ち鳴らし躍動します。

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富山県/南砺(なんと)市「五箇山の歌と踊り」

南砺市平村五箇山には、世界遺産に登録された合掌づくり集落以外にも、「むぎや節」「こきりこ唄」「といちんさ」など、平家の落人伝説を偲ばせる数々の五箇山民謡と踊りがあります。「こきりこ唄」は中学校の音楽の教科書にも古代民謡として採用されています。

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栃木県/日光市「日光和楽踊り」

大正2年9月に大正天皇、貞明皇后の行幸啓が、民間企業で初めて古河電工日光事業所でありました。大任を果たした夜、会社・所員の祝賀の席で、自然発生的に歌い踊られたのがこの踊りの発祥とされ、以来正調和楽踊りの伝統を守り続けています。

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香川県/三豊(みとよ)市「仁尾竜まつり」

干ばつの年に雨乞い行者として知られる和蔵(わぞう)が、雨を呼ぶと信じられていた竜をつくって海に流せばよいという祈祷をしたので、わらで大きな竜をつくり、村内を練り歩き、沿道の人々が貴重な水を掛け海へ流したところ、念願の雨が降ったと伝えられる雨乞いの祭です。

古典芸能 日本舞踊 清元「申酉(さるとり)」

文政9年、清元斉兵衛作曲で三代目坂東三津五郎が踊った「雨茲歌舞伎花轢」の三段返しの下の巻。粋な芸者が祭の若い者を手玉に取って踊るところがミソで、ほんのりと色気をにじませて、いかにも江戸の気っ風を感じさせます。 [出演]藤間紫

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