「遊(あそび)」をテーマに11の地域の伝統芸能・古典芸能が集う
日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介する「地域伝統芸能まつり」を、2月11日、12日の両日、東京・渋谷のNHKホールで開催します。
6回目となる今年のテーマは「遊(あそび)」。“遊び”というエネルギーに身を任せることで、どのように日常生活から解放され、生きる喜びを味わい、祭の中で自らの人間性を取り戻してきたのか、11地域の伝統芸能と古典芸能を中心にご紹介します。
1日目の幕開けを飾るのは、ご存じ徳島の阿波おどり。「踊る阿呆に見る阿呆……」の歌詞と聞き慣れた囃子に合わせてステージ上でにぎやかに踊ります。また、京都祇園のお座敷遊びを取り上げ、三味線など和楽器の演奏と芸妓の唄、舞妓の踊りなどをはじめ、酒宴を盛り上げるための遊技「拳(けん)」などを披露します。
2日目に登場する長崎の竹ン芸は、神の使いである狐が祭り囃子に浮かれ戯れている様を表現したものといわれ、中国伝来の羅漢踊りに由来するといわれています。10m以上の竹竿を2本立て、その上で2匹の白狐に扮した若者が、笛や太鼓、三味線のお囃子に合わせてスリル溢れる見事な技を披露します。
ほかにも、日本古来の伝統神事である田遊びの中から千年の歴史をもつといわれる静岡県大井川町の藤守の田遊び、長い竹竿に多数の提灯を付け手で支えずに額や肩等に立て練り歩く秋田市の竿燈、激しく揺れる太鼓神輿の上でリズムを変えずに太鼓を打ち続ける大阪市の生國魂神社の枕太鼓など、さまざまな伝統芸能が登場します。
古典芸能は、お馴染み京都大蔵流茂山家による遊び心が溢れる狂言『蝸牛(かぎゅう)』が登場。能『融(とおる)』では、優雅に月下を舞遊ぶシテ(主役)を能楽師梅若六郎が務めます。そして、5年ぶりの登場となるのが天王寺楽所雅亮会。酒宴をテーマにしたユニークな舞楽『胡徳楽(ことくらく)』を舞います。
このほか、地域伝統芸能まつり初となる講談を取り上げ、舞台・テレビ・ラジオなど多方面で活躍する異色の講談師、人間国宝の一龍斎貞水によりその魅力を存分にお楽しみいただきます。
ホールロビーでは、恒例の地域を紹介するブースの出展、各地域の情報発信や物産品の販売などが行われる予定です。なお、毎年多数のご応募をいただいておりますが、観覧にははがきまたはインターネットで事前に申し込みが必要です。下記の方法に従ってご応募ください。
プログラム紹介(予定)
※演目は変更される場合もあります。ご了承ください。
第1日
●徳島県/徳島市
「阿波おどり」
400年の歴史をもつ徳島の夏祭。期間中は街中に軽快な2拍子のリズム(よしこの)と情感溢れる音色(ぞめき)のお囃子が響き、踊り子や見物客の身も心も弾みます。自由な民衆娯楽として大きく開花した阿波おどりは日本各地で根づいた上、海外にも遠征するなど、世界的にもその名を知られています。
●静岡県/大井川町
「藤守の田遊び(ふじもりのたあそび)」
わが国を代表する田遊びの一つ。毎年3月17日の夜、大井八幡宮境内で未婚の青年男子によって奉納されます。舞台を清める天狗の所作から、厳かに御獅子を迎える振取。色鮮やかな襷と純白の紙蓑をまとい万燈花がゆれる猿田楽。徳太夫や田植や鳥追など25番に仕立てられた農耕の所作を演じます。
●兵庫県/姫路市
「大塩(おおしお)天満宮獅子舞」
大塩天満宮獅子舞は二人立ちの毛獅子の舞で、野獅子の生態を現す野趣溢れる豪快・勇壮な獅子舞です。鎌倉時代を起源に天文2年(1522)より盛んになったといい、氏子8地区がそれぞれ独自の道中舞(宮入の舞)と地舞(奉納の舞)を伝承しています。
●群馬県/桐生市
「桐生八木節」
「八木節」は越後(新潟県)で歌われていた「新保広大寺節」が各地に伝わり変化してできたと言われています。大正の初め、八木宿(足利市)の馬方、堀込源太が現在の八木節にまとめ、全国に広めました。桐生では織物業の隆盛とともに八木節が盛んになり、現在では桐生の郷土民謡となっています。
●秋田県/秋田市
「竿燈(かんとう)」
江戸時代中期、お盆を前に邪気や病魔を払い、身を清める「ねぶり流し」と五穀豊穣の願いを込め、提灯を米俵に竿燈全体を稲穂に見立て練り歩いたことが由来とされています。重さ約50kgの竿燈を手のひら、額、肩、腰などに絶妙なバランスで乗せる妙技は必見です。
●京都市
「祇園のお座敷遊び“拳”」
京都の花街・祇園には、今もお座敷で座に興を添える独自な遊びが受け継がれています。その一つに「拳」があります。芸妓・舞妓と客が三味線で唄いながら踊り、勝ち負けを争う遊びです。歌集もなく口伝だけに種類も少なくなりましたが、「狐拳」「虎拳」などを披露して会場を盛り上げます。
●古典芸能
◎講談 一龍斎貞水
◎能『融(とおる)』 [出演]梅若六郎ほか
京都六条、河原の院を訪れた僧の前に現れた潮汲みの老人が語る、懐旧の想いと廃墟を照らす月光に浮き上がる融大臣(とおるのおとど)の霊による栄華の舞。融大臣は光源氏のモデルとも言われ、『古今集』の紀貫之の和歌と、その説話的要素を加えた歌物語です。
第2日
●長崎県/長崎市
「竹ン芸(たけんげい)」
「竹ン芸」は、200年以上の歴史があり、祭り囃子に浮かれた白狐(ビャッコ)たちが竹やぶで遊び戯れる様をかたどり、10m以上の直立した青竹の上で狐に扮した若者たちが芸をする伝統芸能です。毎年10月14日、15日に若宮稲荷神社で奉納され、大勢の見物客が息を呑むようなスリルを味わいます。
●青森県/五所川原市金木町
「嘉瀬(かせ)の奴踊り」
「嘉瀬の奴踊り」は、金木新田の開墾事業の成就祈祷に始まったとされ、古くから伝わる田植え踊りであるとともに、秋の豊作を祈願したとされる伝統芸能です。奴の動きは一見簡単に見えますが、中腰を基本とした激しく速い動きで歯切れのよいリズムが特徴です。
●茨城県/石岡市
「石岡のおまつり─土橋(つちばし)の獅子舞」
古来、武士が「武運長久」を祈願したのが始まりといわれています。江戸時代元禄期に町人が参加して家内安全、無病息災を祈願する庶民の祭となり、現在に至っています。毎年9月に、石岡市内を40台を超す山車囃子や獅子囃子舞が練り歩きます。
●大阪市
「生國魂(いくたま)神社の枕太鼓」
大阪三大夏祭のトップを切って行われる「いくたま夏祭」は「陸のいくたま」と称され、夏の風物詩として多くの浪花っ子に親しまれています。その夏祭に奉納される神事の一つが「枕太鼓」で、太鼓を叩く人の背もたれが大きな枕に似ていることからこのように呼ばれています。
●鹿児島県/鹿児島市
「おはら祭」
「おはら祭」は昭和24年に市制施行60周年を記念してスタートしました。当初はおはら節の踊りのほか自動車仮装パレードが主体でしたが、昭和36年、現在のような踊り中心の祭になりました。平成13年に第50回を迎え、総踊り等参加者約2万2千人が集う南九州最大の秋祭に発展しています。
●古典芸能
◎雅楽(舞楽)『胡徳楽(ことくらく)』 [出演]天王寺楽所雅亮会
雅楽は、現存する合奏音楽としては世界最古といわれています。平安貴族にとって、雅楽は最高の遊びの一つで、当時の天皇も雅楽を楽しんでいました。雅楽には「管絃」「舞楽」「歌物」の3つの演奏形態があり、舞楽は、音楽とともに奏する舞をいいます。今回は、酒宴をテーマとした舞楽「胡徳楽」を紹介します。
◎狂言『蝸牛(かぎゅう)』 [出演]茂山逸平、茂山宗彦、茂山茂ほか
主人の祖父のために、長寿の薬といわれる蝸牛(かたつむり)をとってくるよう言いつけられる太郎冠者。しかし、太郎冠者は蝸牛がどんなものか知りません。主人に教えられた蝸牛の特徴を頼りに、藪にやって来た太郎冠者は……。
●観覧申し込み方法
「地域伝統芸能まつり」の観覧は無料です。
◎応募要領
官製往復はがきに(1)郵便番号、(2)住所、(3)氏名、(4)年齢、(5)電話番号、(6)入場希望日(2月11日、12日のいずれかを記入。両日希望の場合は、それぞれ別にお申し込みください)、(7)入場希望者数を明記の上、下記事務局までお送りください。1枚につき2名まで入場できます。未就学児も1名といたします。返信はがきには自分宛の住所、氏名を記入してください。
◎応募先
〒160-8555 東京都新宿区舟町7-6-704
地域伝統芸能まつり事務局
◎応募締切
1月23日(月) 必着
※地域伝統芸能まつり公式サイトからもお申し込みいただけます。
※応募多数の場合は抽選。発表は本人に直接通知いたします。なお、ご応募いただいたお客様の個人情報は、本イベントの抽選、当・落選告知および個人を特定しない統計資料作成の目的で使用させていただきます。また、お客様の事前の承諾なく個人情報を業務委託先以外の第三者に開示・漏洩いたしません。
●第6回地域伝統芸能まつり
[日程]2月11日、12日
[開演]午後2時30分(両日とも)
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会、財団法人地域創造
[後援]総務省、文化庁、NHK
●地域伝統芸能まつりに関する問い合わせ
総務部 関根健 Tel. 03-5573-4056