財団設立10周年を迎えた昨年度に、都道府県版の公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)としてスタートした「公共ホール音楽アウトリーチフォーラム事業」。クラシック音楽の演奏会と地域でのアウトリーチ活動を組み合わせた形となり、おんかつと基本的な事業の枠組みは変わりませんが、本事業は財団と都道府県または政令指定都市等が共同でコーディネートを行い、地域内の公立ホールがアウトリーチの手法について実践的に学ぶ機会を提供する点が特色です。
昨年度の熊本県に続き、今年度は沖縄県と県内6市町村が参加します。6月8日から約1カ月間にわたってクラシックの演奏家を派遣するという事業実施に先駆け、4月27日、28日の両日、沖縄県庁を会場にして全体研修会が行われました。
研修会1日目は、県庁隣にある開成小学校で平成14年・15年おんかつ登録アーティストの田村緑さんによるピアノのアウトリーチを見学した後、アウトリーチの意義や前年度アウトリーチフォーラムの事例などについて、各講師から説明を受けました。参加者の中には、アウトリーチ事業は初めての方もいて、実際ピアノのアウトリーチを通して小学生が、ピアノの音や仕組みに惹きつけられていく様子を間近にし、「大変参考になった、今後組み立てていくアウトリーチ事業に役立てたい」との声が上がりました。
2日目は、実施団体ごとに分かれ、アウトリーチに対する理解やそれぞれの企画に対する思いをぶつけあいながら、実際に企画案の作成を試みました。アウトリーチフォーラムでは、派遣されたアーティストに地域をより理解してもらう試みとして「地域交流プログラム」も設けていますが、「泡盛酒造り体験」「喜友名(きゆな)石獅子回り」などさまざまなアイディアが出されました。
各地での事業の後、7月18日には、那覇市民会館で報告会と参加アーティストによるコンサートを行います。さらに今年度は6市町村だけでなく、おんかつ登録アーティストOBにも参加いただき、県庁所在地の那覇市でもアウトリーチ活動とコンサートを提供する「おんかつOB登録アーティストによるアウトリーチ&ガラコンサート」も併せて開催する予定です。
「公共ホール音楽アウトリーチフォーラム事業」の詳細つきましては、改めて本誌で紹介する予定です。