一般社団法人 地域創造

平成17年度公共ホール音楽活性化事業/公共ホール現代ダンス活性化事業「全体研修会」レポート

平成17年度公共ホール音楽活性化事業/公共ホール現代ダンス活性化事業
「全体研修会」
2005年4月18日~20日/4月25日、26日

●平成17年度の全体研修会で活性化事業がいよいよキックオフ

 新年度がスタートして1カ月余り。平成17年度事業の始まりを告げる全体研修会が相次いで開催されました。
 昨年度の財団設立10周年を機に大幅に拡充された「公共ホール音楽活性化事業」(4月18日~20日)を皮切りに、今年度が第1回となる「公共ホール現代ダンス活性化事業」(4月25日、26日)、昨年度の熊本県に続いて沖縄県での開催が決定した「アウトリーチ・フォーラム事業」(4月27日、28日/P5参照)の全体研修会が目白押しで、事業参加館の担当者とコーディネーター、アーティストとの熱のこもったやりとりが連日続き、早くも今年度の成果を予感させる幕開けとなりました。

 

●登録アーティスト2年目に突入

 「公共ホール音楽活性化事業」(以下、音活)は、オーディションにより選ばれた登録アーティスト(2年入替制)を公立ホール等に派遣し、地方公共団体との共催でコンサートおよびアクティビティ(地域との交流を図るプログラム)を開催するものです。全体研修会では、充実した講師陣を揃えたOB研修会が同時開催されたこともあり、全参加館(47館)、全登録アーティストに加え、コーディネーター、講師、OBなど、総勢120名余りが入り乱れる賑やかな交流が実現。
 また、三鷹市芸術文化センター・風のホールで開催された16・17年度登録アーティストによるプレゼンテーションは、2年目の実力を遺憾なく発揮した充実のステージとなりました。声楽家の菅家奈津子さんは、「少し太めの声が持ち味で、情熱的な女性の本性を歌い上げるのがメゾソプラノ」という声の魅力を、日本歌曲、アリア、童謡などでアピール。尾崎豊からクラッシックの名曲、即興までを聞かせたフルートの永井由比さん、昨年のアウトリーチでの子どもたちとのやり取りを紹介しながら、ジプシーの母の愛の曲に思いを託したヴァイオリンの神谷未穂さんなど。一般のお客さんも次々に登場する演奏家の個性を存分に楽しんでいました。
 その他、三鷹市の明星学園小学校で行われた礒絵里子さん(ヴァイオリン)のアウトリーチ事業体験や、先生役となったコーディネーターを相手に悪戦苦闘しながら打ち合せを行う「おんかつロールプレイング」など、参加者は実践型のゼミで音活スピリットの洗礼を受けました。

 

平成17年度公共ホール音楽活性化事業開催地
北海道深川市、青森県青森市、宮城県石巻市、山形県余目町、福島県会津若松市、茨城県取手市、群馬県富岡市、千葉県市川市、東京都目黒区、東京都八王子市、新潟県長岡市、岐阜県山県市、静岡県伊東市、愛知県幸田町、愛知県武豊町、滋賀県野洲市、京都府舞鶴市、大阪府松原市、奈良県奈良市、長崎県長崎市、長崎県佐世保市、熊本県長洲町、鹿児島県大口市、沖縄県佐敷町

 

平成16・17年度公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト
小林厚子(ソプラノ)、菅家奈津子(メゾソプラノ)、久保田葉子(ピアノ)、佐々木京子(ピアノ)、永井由比(フルート)、神谷未穂(ヴァイオリン)、野口千代光(ヴァイオリン)、宮本妥子(打楽器)、デイヴィッド・ファーマー(クラシカルアコーディオン)、ピアノデュオDuetwo、Buzz Five(金管五重奏)、BLACK BOTTOM BRASS BAND(ブラスバンド)

 

公共ホール音楽活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 小澤・中俣・高橋 Tel. 03-5573-4074

 

●現代ダンスの多様な表現に驚き

 「公共ホール現代ダンス活性化事業」の全体研修会は、廃校を活用したNPO運営によるアートセンター「にしすがも創造舎」(東京)で行われました。初めての試みであり、登録アーティストをはじめコーディネーター、財団の担当者も大変に緊張した2日間でした。特に、初年度の登録アーティストには、現代ダンスを牽引してきた第一世代の舞踏家・振付家から若手までが顔を揃えていますが、こうしたメンバーが一堂に会するのはダンスの世界でも初めてのこと。ましてや、全員が15分ずつ、計3時間半にわたって実演を交えたプレゼンテーションを行うなど、前代未聞の出来事だったのではないでしょうか。
 ショートプログラムで会場をうならせた山田うんさん、現代美術作家とのコラボレーションを提案した山田珠実さん、コーヒーを飲むしぐさなど生活の中にある動きでダンスをつくる手法を会場の人たちと一緒に実演してみせた北村成美さん、即興ダンスを披露した岩下徹さん、相手の動きとシンクロさせるデュオのワークショプを実演した砂連尾理さんと寺田みさこさん、舞踏家の身体で圧倒した室伏鴻さん、言葉のエネルギーを身体エネルギーに変換してみせた大御所の笠井叡さんなどなど。目の前で展開される多様な表現に参加者たちはびっくり。改めて現代ダンスの可能性を痛感した刺激的な時間となりました。
 2日目のゼミでは、登録アーティストを理解するためのコンテンポラリーダンスの基礎知識や補足情報に加え、海外やワークショップの事例が紹介され、知識の面からのフォローアップが行われました。
 地域創造では常に第一線の実践家にコーディネーターを委嘱していますが、ダン活でも地域の視点に立ってサポートできる強力な布陣が実現。伊丹市立演劇ホール(アイホール)やびわ湖ホールでダンス事業のプロデュースを手がける志賀玲子氏、NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)を主宰し、若手のダンサーの発掘や普及公演を精力的に行う佐東範一氏、NPO法人芸術家と子どもたちを主宰し、アーティストを小学校に派遣するプロジェクトなどを行う堤康彦氏の3名が全面的に参加館をバックアップします。近くで事業が行われる際はぜひご覧いただければと思います。

 

ダン活アーティストプレゼンテーションの様子

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北村成美さん
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砂連尾理さん
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室伏鴻さん
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上村なおかさんと
笠井瑞丈さん

●平成17年度公共ホール現代ダンス活性化事業「全体研修会」スケジュール

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撮影:谷古宇正彦

平成17年度公共ホール現代ダンス活性化事業開催地
北海道斜里町、宮城県名取市、宮城県大河原町、神奈川県茅ヶ崎市、石川県金沢市、岐阜県多治見市、兵庫県豊岡市

 

平成17年度公共ホール現代ダンス活性化事業登録アーティスト
伊藤千枝、岩下徹、笠井叡、勝部ちこ、北村成美、室伏鴻、山田うん、山田珠実、上村なおか+笠井瑞丈、砂連尾理+寺田みさこ

 

公共ホール現代ダンス活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 畑間・南谷 Tel. 03-5573-4064

 

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