今年スタートの公共ホール等のプロデュース公演に注目
全国各地の若手・実力派劇団を紹介する「リージョナルシアター・シリーズ」が、今年も3月2日~20日にかけて東京芸術劇場小ホールで開催されます。このシリーズは、地域創造と東京国際芸術祭との共催により平成11年にスタート。これまでに全国の計25劇団を紹介してきました。6年目の今年は、劇団公演部門以外に公共ホール・劇場企画公演部門を新設し、プロデュース公演を上演します。
●話題の4劇団が登場
今年登場するのは、札幌から「劇団千年王國」、名古屋の「劇団人工子宮」、四国から初めての参加となる松山の「劇団無限蒸気社」、京都の「トリコ・Aプロデュース」の4劇団。エンターテイメント性の豊かな千年王國と人間の本質に迫る世界観が見どころのトリコ・Aプロデュースはどちらも20代の女性主宰者が作・演出を手がけています。無限蒸気社は地域に根ざした活動を展開する松山のリーディングカンパニーと言っても過言ではない実力派。人工子宮は細かな心の機微や感情の揺れを大切に表現した作風で知られています。
●公共ホール・劇場企画公演部門を新設
演劇を事業の柱にする公共ホールや、地域で戯曲賞を制定し、公共ホールが受賞作をプロデュースするといった動きが活発になっています。そうした状況を背景に今年から「公共ホール・劇場企画公演部門」を新設しました。今年は、大阪市立芸術創造館が製作する『背くらべ』を上演します。第1回リージョナルシアターに参加した劇団太陽族の岩崎正裕が演出する作品で、姉と弟が織りなす家族模様を二人芝居でお見せします。
●劇場スタッフ必見のミーティング
公演初日の3月2日にはトークセッション「リージョナルシアターズ・ミーティング」を開催します。公共ホールでの作品づくりが盛んに行われる中、作品をつくること、公共ホールがネットワークを組む意義について公共ホール演劇製作ネットワーク事業の上演作品を演出した竹内銃一郎氏と松本修氏に伺います。また、大学で教鞭を執る両氏に教育現場で演劇の指導を行うことについても幅広く語っていただきます。関心のある方は、どなたでも参加できますので、担当までお問い合わせください。
●リージョナルシアターズ・ミーティング「公共ホールで作品をつくる~演劇製作ネットワーク事業から~」
[日時]3月2日(水)13:30~16:00
[会場]東京芸術劇場 中リハーサル室3
[参加費]無料
[参加方法]要申し込み
[パネリスト]竹内銃一郎(劇作家・演出家)、松本修(劇作家・演出家)、津村卓(地域創造プロデューサー)
[進行]坪池栄子(文化科学研究所プロデューサー)
●劇団無限蒸気社『BARBER ORCHESTRA』(松山)
[日程]3月2日(水)、3日(木)
[作・演出]古川洋太郎
[出演]上久保浩文、渡辺恵子、村上真奈美、杉浦みゆき ほか
◎1996年愛媛県において松山市ほかの有志により創立。半抽象表現という、独創的な表現方法を用いることで、日常と非日常のはざまを描き、そこにある真実性を拾い上げることを試みている。リアリティ溢れる日常空間を、微妙にずらしていくことによって現れる非日常空間。そこに通常の日常表現では掬い出すことのできなかった世界を浮かび上がらせ、夢の具現化を試みている。
[お問い合わせ]劇団無限蒸気社 Tel. 089-941-3700
●劇団人工子宮『なつのくもゆき』(名古屋)
[日程]3月5日(土)、6日(日)
[作]大津典子
[演出]三好由起(小春日和~インディアン・サマー)
[出演]宇佐美亨、片山京子、鈴木弘美、名取有史、永見一美(劇団ジャブジャブサーキット)、小関道代(劇団ジャブジャブサーキット)
◎1990年名古屋大学出身の三好由起、宇佐美亨、大津典子、大川敦らによって結成。日常的で等身大なリアルな時間、ファンタジックで虚構性の強い時間が奇妙なバランスで溶け合った劇空間特徴であるという批評を受けている。外部公演にも積極的に参加している。
[お問い合わせ]人工子宮オフィス Tel. 052-323-2759
●トリコ・Aプロデュース『潔白少女、募集します』(京都)
[日程]3月8日(火)~10日(木)
[作・演出]山口茜
[出演]内田和成、鈴木正悟、竹原孝昭、石田陽介(graggio) ほか
◎京都市内を拠点に活動し、主に山口茜の作・演出で作品を上演する団体。代表の山口は、「他人(初期化する場合)」で第10回OMS戯曲賞大賞を受賞。2000年の活動開始より、その独創性が関西で高く評価されている。
[お問い合わせ]トリコ・Aプロデュース Tel. 075-451-3603
●劇団千年王國『SL』(札幌)
[日程]3月12日(土)、13日(日)
[作・演出]橋口幸絵
[出演]柴田智之、村上水緒、佐藤素子、榮田圭子、梅津学、山崎美世、櫻井直子 ほか
◎1999年に結成され札幌市を拠点に活動する劇団。作・演出の橋口が繰り出す独特の世界観を、確かなアンサンブルと、札幌屈指のベテランスタッフのバックアップを得て表現している。非日常へと観客を連れ去る物語性豊かでケレン味のあるステージは、文芸性、エンターテイメント性の両方から確かな評価を確立しつつある。
[お問い合わせ]劇団千年王國 Tel. 06-6325-2980
●大阪市立芸術創造館プロデュース『背くらべ』(大阪)
[日程]3月17日(木)~20日(日)
[作・演出]岩崎正裕
[出演]中川浩三、みなみさゆり
◎大阪市立芸術創造館は、2000年大阪市旭区にオープン。演劇の稽古場や音楽スタジオを含め、公演可能な大練習室もある施設。今回の二人芝居は、関西のみならず演劇を観たことがないという方にも出会っていくために考えられた企画。劇場空間以外でも上演できる可能性を模索し、シンプルでありながら質の高い芝居をつくることを目指した。
[お問い合わせ]大阪市立芸術創造館 Tel. 06-6955-1066
●リージョナルシアター・シリーズに関する問い合わせ
芸術環境部 大垣・大崎 Tel.03-5573-4124