一般社団法人 地域創造

リージョナルシアター・シリーズ閉幕

 2月17日から3月7日まで、東京芸術劇場小ホールを会場に開催された第5回「リージョナルシアター・シリーズ」が、無事閉幕しました。ご協力いただいた関係者の皆様、本当にありがとうございました。
 劇団公演では、クロムモリブデン(大阪)、ぺピン結構設計(横浜)、きらく企画(仙台)の3劇団が登場しました。その中で特に注目を集めたのがクロムモリブデン。大阪芸術大学映像学科出身の青木秀樹氏を中心に、89年に旗揚げ。ノイジーな音響、映像、照明を駆使した独自の舞台で、関西でコアなファンを獲得してきた劇団です。今回の作品『なかよしshow』は、とある劇団を舞台に、若者のコミュニケーションや現代の“演劇”論そのものをシニカルな笑いとともに対象化した内容で、青木氏の標榜する「トランス・ナンセンス・バイオレンス」の世界にはまる人が続出しました。さらに、スタッフワークも素晴らしく関西演劇界の層の厚さを再認識させる公演となりました。

 

◎5周年記念コラボレーション企画

 今年のシリーズでは、5周年を記念し、地域を超えた交流を目指す“コラボレーション企画”の試みを行いました。これまでにリージョナルに出演した劇団から作家、演出家、役者を集め短編2作を制作するというもので、脚本は劇団八時半の鈴江俊郎(京都)と桃園会の深津篤史(大阪)、演出に、劇団ジャブジャブサーキット(岐阜)のはせひろいち、飛ぶ劇場(北九州)の泊篤志が当たりました。

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 2人の岸田戯曲賞作家の短編が同時に見られるとあって、3月6日、7日の公演は大盛況。鈴江作品『いちごの沈黙。』が、現代社会と自己との関係性がうまく構築できない男性を描けば、深津作品『コイナカデアル。』は淡々とした会話の中に男と女の永遠の行き違いをあぶり出すなど、同じ男女三人芝居でありながら見事に対照的な2作品に両作家の魅力を再発見したお客様も多かったのではないでしょうか(この企画は、5月に愛知県長久手町文化の家、6月に京都芸術センターでの公演が予定されています。お近くの方はぜひご覧ください)。

 

◎リージョナルシアターズ・ミーティング

 そのほか、会期中に行われた「リージョナルシアターズ・ミーティング」では、全国各地の演劇振興に力を入れている公共劇場の担当者が勢揃いし、劇団の発掘、育成や稽古場の運営について議論を交わしました。
 セッション2「劇団の発掘・ステップアップに劇場が果たす役割とは?」では、若手劇団のメッカとなっている劇場担当者から「とにかく劇場の担当者が若い劇団を見たおすこと」(山口英樹/伊丹アイホール事業担当)、「劇団や演劇をやっている若い人が自由にものを言える雰囲気が大切。その中で生まれる交流が面白い企画を生み出す」(岡崎松恵/BankART1929 Yokohama代表、元STスポット館長)など、経験に裏打ちされた説得力のあるコメント満載の内容となりました。

 

リージョナルシアター・シリーズ
[日程]2月17日(火)~3月7日(日)
[会場]東京芸術劇場小ホール1、2
出演劇団
クロムモリブデン(大阪)
ぺピン結構設計(横浜)
きらく企画(仙台)
Ort.d.d+こふく劇場(東京+宮崎/フリンジ参加)
5周年特別企画「国道、書類、風呂桶。─短編二作同時上演─」
『いちごの沈黙。』
[作]鈴江俊郎
[演出]はせひろいち
[出演]佃典彦、咲田とばこ、中村美保
『コイナカデアル。』
[作]深津篤史
[演出]泊篤志
[出演]江口恵美、寺田剛史、中野真希

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