今年も恒例「夏のフェスティバル特集号」の時期がやってきました。話題の企画から、本格的な取り組みが増えている子ども向けの催しまで、一挙にご紹介します。
●「越後妻有アートトリエンナーレ2003」
アートによる地域活性化の試みとして開催され、ブームとなっている野外アート展の集大成といえる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003」。2000年の第1回展には会場となった越後妻有の6市町村(新潟県十日町市、川西町、津南町、中里村、松代町、松之山町)に約16万人が訪れ、話題となりました。その2回目がいよいよ7月20日に開幕します。
前回から継続して参加するアーティストも含め、今回は世界23カ国から157組のアーティストが集まり、里山や棚田、公園、市街地などで作品を制作。集落の希望により誘致され実現したプロジェクトも多く、その数は50を超えています。農具や冬囲いなど、地域の伝統的な材料を使ったり、調査やワークショップを重ねるなど、住民とアーティストが関わりあいながら実現。
また、今回から新たな取り組みとして短編ビデオフェスティバルを開催。「人間は自然に内包される」というテーマに対して、世界28カ国から401もの作品が寄せられ、11カ国28作品が第1次審査を通過しました。期間中、レストランや駅の待合室、旅館など地域のさまざまな交流の場で上映され、2次審査により優秀作品が選ばれます。
そのほか「アボリジニ展」「イヌイット展」といった企画展、国際会議、セミナー、夏祭り、自主企画イベントなど盛りだくさんの内容。全国で市町村合併が進むなか、アートを媒介にした地域づくりに再び注目が集まりそうです。
●子どもたちが本物の“伝統”にふれるチャンス
平成14年度から小中学校の授業に邦楽が導入されたことにより、各地で子ども向けの伝統芸能のワークショップが盛んに行われるようになってきました。横浜能楽堂では、これまで毎年普及公演として実施してきた「親子能楽鑑賞会」を、人間国宝ら一流の出演者が競演する「夏休み夢舞台」にグレードアップ。人間国宝5人をはじめとする現代を代表する能楽師が顔を揃える稀有な観賞機会となりました。演目は能が源平合戦を背景にした『船弁慶』、狂言は親しみやすい『呼び声』。
また関連企画として、人間国宝の亀井忠雄さんを講師に、楽器に触れることができる「こども能楽体験教室」を開催。囃子方(笛・大鼓・小鼓・太鼓)のワークショップを、能楽堂だけでなく、横浜市内8カ所に出張して実施します。能楽の体験教室は、岐阜市文化センターでも企画されています。
横浜市旭区民文化センターでは「柳家花緑の夏休みスペシャルらくご会」と題して、子どもたちに日本の伝統芸、落語と寄席の楽しさを知ってもらう会が催されます。注目の若手落語家・柳家花緑が案内役を務め、解説付きの落語を披露するほか、江戸家まねき猫とジャグラーのマサヒロ水野が寄席芸を実演。「いいものは、時代を超えておもしろい」と話す柳家花緑さん。この言葉のように、この夏は“時代を超えたいいもの”にふれてみてはいかがでしょうか。