一般社団法人 地域創造

滋賀県山東町 ミュージカル 「2003・310版 オー!七兵衛─歌えば晴れるし、晴れたら歌うし─」

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 東海道新幹線米原駅から車で20分ほど。日本百名山のひとつ、伊吹山のふもとにある滋賀県山東町は、国の特別天然記念物・ゲンジボタルの生息地として有名なところだ。

 その山東町に2001年4月にオープンした町民交流プラザ「ルッチプラザ」内のベルホール310(「310」は「山東」のこと)で、5月10日、11日に町民によるミュージカル『2003・310版 オー!七兵衛─歌えば晴れるし、晴れたら歌うし─』が上演された。地元の名産「伊吹もぐさ」で江戸にその名を轟かせ、日本で初めてCMソングをつくった人物といわれる「亀屋佐京商店」六代目七兵衛を題材にしたオリジナル作品だ。

 

 

 山東町は1998年4月、3つの柱からなる「文化のまちづくり事業」をスタートさせた。地域に伝わる太鼓や踊りといった伝統芸能の保存と育成、ふるさとを歌う童謡コンクールの開催に加え、「町民ミュージカルの制作、上演」が大きな目標として掲げられている。「もともと町民劇団があったわけでもなく、土壌はなかったのですが、総合芸術であるミュージカルを住民の手で協力してつくることで、文化を創造する喜びや生きがいに繋げていこう、ということになりました」(山東町教育委員会の伊藤彰浩さん)。町民による実行委員会がつくられ、町主催のミュージカル公演第1弾として、ルッチプラザのオープニング事業として『比夜叉伝』が上演された。

 その直後からすぐ2作目を、という声があがり、町民による制作集団「カモンカンパニー」が結成された。「ミュージシャンや画家、カメラマン、主婦や学生など、いろいろな方法で表現したいという仲間が集まりました」と、代表の中村一海さんは話す。中村さんは東京で長く舞台美術の仕事に携わり、10年前に滋賀県に転居。5年前にこの町に移り、第1回ミュージカルに参加したのがきっかけで、「山東町から文化の発信ができないか」という思いを強く抱くようになったという。今回の脚本・演出を担当した劇団主宰者で、役者としても活動をしている進藤則夫氏は、その中村さんの人脈によるものだ。昨年4月からワークショップをスタートさせ、8月の成果発表会を経て、今回の参加メンバー、10歳から50代までの約30名を決定。

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 公演まで1週間の5月3日、稽古の様子を取材した。マリンバ、チェロ、ドラムなどの生演奏をバックに、歌や踊りが展開するバラエティに富んだステージだった。もちろん装置も衣裳も手づくりだ。稽古では音楽担当の山東町出身の作曲家・日向宣広氏が、タイミングの取り方やテンポについて指示を出すと、出演者みんなで相談しながら振りと歌を合わせていた。そこに地元在住で歌唱指導の岡田敏子さんも加わる。指導というよりは、みんなでつくっている感じだ。

 進藤氏も「ちょっとしたことでもメンバーと話し合い、アイデアを積極的にシーンに取り込んでいる」と言う。「進藤さんが同じ目線で取り組んでいるのが嬉しい。僕たちならではの、手づくりのミュージカルができたという実感がある」と中村さん。

 本番は盛況のうちに終わったが、町主催によるミュージカル公演は今回で終了になる。カモンカンパニーは「今後はホールを拠点に、芝居に限らず音楽やダンス、美術など、少人数のユニットでできる企画を継続して展開していきたい」という。ここまでは町と教育委員会の取り組みがきっかけを与え、市民がそれを自主的に展開してきた。これもまた市民参加の一つのあり方かもしれない。

(土屋典子)

●ミュージカル『2003・310版 オー!七兵衛─歌えば晴れるし、晴れたら歌うし─』

[主催]山東町、山東町教育委員会
[日時]2003年5月10日、11日
[場所]山東町立町民交流プラザ「ベルホール310」
[作・演出]進藤則夫
[制作]カモンカンパニー

 

地域創造レター 今月のレポート
2003.6月号--No.98

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