2003年5月13日~15日
●アウトリーチ体験プログラムを追加し、体感度さらにアップ
市町村立の小規模なホールも気軽に参加できることから好評をいただいている「公共ホール音楽活性化事業」(以下、音活)。平成15年度は、全国18館の参加が決定し、5月13日から3日間、東京・北とぴあで「全体研修会」が開催されました。
これは、参加ホールの担当者、事業をサポートするコーディネーター、および音活に協力する演奏家(登録アーティスト)が一堂に会する“音活版ステージラボ”。詳細スケジュールは、右頁のとおりで、前年度までの参加館による事例紹介や演奏家を交えた企画づくりワークショップなど、実践的なプログラムとなっています。
2日目には、研修会のハイライトである登録アーティストの公開プレゼンテーションが4時間にわたって行われました。今回は実際にアウトリーチ事業を見学する体験プログラムも実施されるなど、“見て、聴いて、企画する”体感度のアップした研修となりました。
昨年から新たにスタートした「OB研修会」は、OB館の代表がコーディネーターを務め、カリキュラムを自分たちで作成するなど、OBの主体的な運営が特徴となっています。全国22館から24名が再結集しましたが、音活をきっかけに継続的にアウトリーチ事業を展開している先進館の担当者がずらりと顔を揃え、迫力ある会合となりました。
●平成14・15年度登録アーティスト
田村緑(ピアノ)、中川賢一(ピアノ)、礒絵里子(ヴァイオリン)、唐津健(チェロ)、神代修(トランペット)、竹内直子(ハーモニカ)、浜まゆみ(マリンバ)、大森智子(ソプラノ)、薗田真木子(ソプラノ)、羽山晃生(テノール)
●平成15年度コーディネーター/アドバイザー
児玉真(NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク ディレクター)、箕口一美(NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク ディレクター)、能祖将夫((仮称)北九州芸術劇場準備事務局プロデューサー/美野里町四季文化館芸術監督)、楠瀬寿賀子(津田ホールプロデューサー/びわ湖ホールプロデューサー)、吉本光宏(株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員)、丹羽徹(社団法人日本クラシック音楽事業協会事務局員)、深作拓郎(法政大学社会学部非常勤講師(社会教育学))、津村卓(地域創造プロデューサー)、宮地俊江・小澤櫻作(地域創造ディレクター)
●平成15年度公共ホール音楽活性化事業開催地
岩木町文化センター(青森県岩木町)、桐生市市民文化会館(群馬県桐生市)、三芳町文化会館(埼玉県三芳町)、吉川市中央公民館(埼玉県吉川市)、三鷹市芸術文化センター(東京都三鷹市)、コスモアイル羽咋(石川県羽咋市)、和田山町文化会館(兵庫県和田山町)、温泉町 夢ホール(兵庫県温泉町)、生野町民会館(兵庫県生野町)、豊岡市民会館(兵庫県豊岡市)、美里町文化センター(和歌山県美里町)、石央文化ホール(島根県浜田市)、日生町民会館(岡山県日生町)、大野城まどかぴあ(福岡県大野城市)、サザンクス筑後(福岡県筑後市)、武雄市文化会館(佐賀県武雄市)、益城町文化会館(熊本県益城町)、宜野座村文化センター(沖縄県宜野座村)
※会場は予定
●演奏家のトークの力を再発見
アウトリーチ体験プログラムが行われたのは、北とぴあから徒歩5分の王子小学校。3年生と4、5年生を対象に2回に分けて実施されました。演奏家として協力していただいたのは12・13年度登録アーティストとして音活に参加したベテランの大森潤子さん(ヴァイオリン)と長谷部一郎さん(チェロ)です(ピアノは山口博明さん)。
4、5年のクラスでは、足元を取り囲むように子どもたちを座らせ、ヘンデルやラフマニノフなど全5曲を“弾き語り”。楽器の説明、音の聴き比べはもちろん、アンサンブルの醍醐味を「トンカツ定食」に例えたラヴェルの「ピアノ三重奏曲第2楽章」まで、子どもたちとの真剣勝負が続きました。
「弓は何でできていると思う?」
「ゴム!」
「ゴムみたいに見えるけど違います。何かの動物の毛です」
「クジラッ」「馬のしっぽ」
「正解! 馬のしっぽは触るとどんな感じがするかなあ」
「触ったことないからわかんない」(笑)
トークによる子どもたちとの心理戦を挟みながら、迫力ある演奏で音楽の力を伝えていく登録アーティストのたくましさと真摯な取り組みに、参加館の担当者からは驚きの声が上がっていました。