●「第3回地域伝統芸能まつり」
─“天地(あめつち)”をテーマに14の地域芸能・古典芸能が結集─
東京に居ながらにして、地域の芸能や全国屈指のまつりが無料で見られるとあって大人気になっている「地域伝統芸能まつり」。3回目となる本年度は、昨年より約1カ月早い3月1日、2日の両日、渋谷のNHKホールにて開催いたします。昨年ベースで抽選倍率が約7倍という状況のため、希望者の方は必ず2月10日の締切までに下記の方法に従ってご応募ください。
この催しは、失われつつある各地の伝統芸能等を映像により記録・保存することを目的にスタートした地域創造の「地域伝統芸術等保存事業」の一環として行われているものです。全国の芸能継承者の方々に発表の場を提供するとともに、イベントや放送を通じてその魅力を再認識していただき、芸能による地域づくりの向上を目指しています。
“怨霊”“恋(こひ)”に続く、今回のテーマは“天地(あめつち)”です。まつりなどの重要なモチーフとなっている「天の恵み、地の実りへの感謝」を日本人はどのように表してきたのか、10の地域の芸能と3つの古典芸能にてご紹介します。
見所のひとつが、大規模な祭礼の再現です。今回は、1日目の取りとして青森県の「弘前ねぷた祭り」が東京に乗り込みます。このまつりは、戦の勝利を祈ったもので、子どもが担ぐねぷた(色鮮やかな武者絵などが描かれた燈籠の山車)とともに直径3メートルの津軽じょっぱり大太鼓が登場します。
このほか、隠れキリシタンの島として知られる長崎県の生月島から門外不出とされてきた「オラショ(Oratio)」(ラテン語の祈りの意)が登場するのも話題です。禁制のため口伝でのみ密かに男子によって歌い継がれてきたもので、日本語やラテン語が入り交じった不思議な節回しの祈りになっています。
注目すべき演目として上げられるのが、作曲家の三枝成彰氏が「ドイツにおける日本年」(2000年)のために書き下ろした協奏曲『太鼓について』です。これは、まつりとは切っても切れない和太鼓の激しい音とオーケストラの美しいメロディの両立を目指した意欲作。作家の島田雅彦氏が綴った「太鼓について」のモノローグを狂言師の野村万之丞氏が謡うなど、交響楽団と和太鼓と謡曲によるコラボレーションが試みられています。
ほかにも、土俵でユニークな米搗(つ)きなどをする油井の豊年踊りやアイヌの口承文芸のユカラなど、郷土色豊かな地域芸能が並んでいます。また、ホールロビーでは地域を紹介するブースも出展されますので、ご期待ください。
プログラム紹介(予定)
●北海道
「ユカラ」
アイヌ民族の伝統的な口承文芸は、拍子を取って謡うように語るもの、比較的単調に話し言葉のように語るものなど、さまざまな語り方がされる。物語は「英雄叙事詩」「神謡」「散文説話」の3つに大きく分類され、「ユカラ」は「英雄叙事詩」を指す呼び名の一つ
●青森県弘前市
「津軽情っ張り(つがるじょっぱり)大太鼓」
「ねぷた」の語源は「眠り流し」、「ねむた流し」とされ、農作業の忙しい夏季に襲ってくる眠気を追い払うものとされている。「津軽情っ張り大太鼓」とは弘前ねぷたに先陣を切って出陣する直径3.3メートルの大型の太鼓(弘前ねぷたまつり/国指定重要無形民俗文化財)。
●仙台市
「秋保(あきう)の田植踊(たうえおどり)」
田植踊はかつて東北地方の多くの農村に踊り継がれていた。「秋保の田植踊」は、町の中心地である長袋に落ちのびた平家の落人たちが昔日を慕って始めたものと伝えられており、古い芸態と美しい舞振を残している(国指定重要無形民俗文化財)。
●新潟県柏崎市
「綾子舞(あやこまい)」
綾子舞は、新潟県柏崎市女谷の下野・高原田両地区に約500年前から伝わる古雅な芸能。女性によって踊られる小歌踊と、男性による囃子舞、狂言の三種類から成り、初期歌舞伎の面影をよく残しているといわれている(国指定重要無形民俗文化財)。
●岐阜県八幡町
「郡上(ぐじょう)おどり」
400年ほどの伝統をもつといわれている郡上踊りは今や三大民踊のひとつに数えられている。本場郡上八幡では7月中旬から9月初旬にかけて30夜にわたり「郡上おどりの夕べ」が繰り広げられている(国指定重要無形民俗文化財)。
●三重県四日市市
「四日市の大入道(おおにゅうどう)」
大四日市まつりの名物「大入道」。首を伸ばすと高さ9メートルもある、日本一のからくり人形の大入道が8月の第一土日曜日に、市内中心部を巡る。昔この町の蔵に狸がよく出て、町人をたびたび化かして困らせたので、懲らしめのために大きなお化けの張りぼてをつくったのが始まりといわれている(県指定有形民俗文化財)。
●愛媛県今治市
「継ぎ獅子(つぎじし)」
約300年の昔から伝わる今治地方の獅子舞。少しでも天の神様に近づきたいとの思いから人の上に人が立ち、その上に子ども(獅子児)があがり獅子舞をするという全国的にも珍しい立体芸能(県指定無形民俗文化財)。
●長崎県生月町
「オラショ(かくれキリシタン行事)」
長崎県の平戸地方には、かくれキリシタンのまとまった団体があり現在もさまざまな行事が行われている。16世紀中頃、宣教師たちによって伝えられた祈りの言葉を“オラショ”といい、かくれキリシタンの行事の根幹を成すもの。この地方では潜伏時代のキリシタンの信仰形態が今日も連綿と受け継がれている。
●佐賀県鹿島市
「面浮立(めんぶりゅう)」
鹿島が誇る民俗芸能のひとつ。笛・鉦・太鼓の囃子に合わせ鬼面をつけて舞う。もともとは戦死者の供養と鎮魂のためだったといわれているが、現在は五穀豊穣への感謝をする神事芸能として受け継がれている(県指定重要無形文化財)。
●佐賀県上峰町
「米多浮立(めたふりゅう)」
米多浮立とは天衝舞浮立(てんつくまいふりゅう)の一種で、室町時代の終わりごろ、佐賀市の堀江神社神官の山本玄藩が雨乞いのために考案したと伝えられている。頭上に天衝と呼ばれる大きな被りものを頂き、勇壮で華麗な舞が特徴(県指定重要無形民俗文化財)。
●鹿児島県瀬戸内町
「油井(ゆい)の豊年(ほうねん)踊り」
「油井の豊年踊り」は豊作を祈願する行事で、毎年旧暦の8月15日に行われている。収穫以降の諸作業を芸能化したもので、多彩かつユーモアに伝承されてきた姿を古式豊かに今に伝えている(県指定無形民俗文化財)。
●古典芸能
○狂言「神鳴(かみなり)」
東(あずま)に旅するヤブ医者の目の前に、轟音とともに空から神鳴様が落下。腰を打って痛がる神鳴様をヤブ医者が手当てをし…。
[出演]山本東次郎(大蔵流)ほか
○「太鼓について」(作曲:三枝成彰/台本:島田雅彦/狂言:野村万之丞)
[指揮]大友直人
[太鼓]日本太鼓連盟
[管弦楽]新日本フィルハーモニー管弦楽団
○能「野守(のもり)」
世阿弥の『風姿花伝』にも出てくる鬼の能。早春の大和春日野を舞台に、山伏が恐ろしい鬼の鏡と戦う。
[出演]梅若六郎ほか
●観覧申し込み方法
「地域伝統芸能まつり」の観覧は無料です。
○応募要項
官製往復はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、Eメールアドレス(お持ちでしたら)、観覧希望日(3月1日、2日のいずれか)、観覧希望者数、興味のある演目(3つまで)を明記の上、下記事務局までお送りください。1枚につき2名まで入場できます。1日につき1枚の応募が必要です(未就学児も1名といたします)。返信はがきには自分宛の住所、氏名を記入してください。
○応募先
〒160-8555 東京都新宿区舟町7-6-704
地域伝統芸能まつり事務局
○応募締切
平成15年2月10日(月)必着
応募多数の場合は抽選。発表は本人に直接通知いたします。
●「第3回地域伝統芸能まつり」
[日程]3月1日、2日
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会
[共催]財団法人地域創造
[後援]総務省、文化庁、NHK
●地域伝統芸能まつりに関する問い合わせ
地域創造総務部事業課 右谷誠
Tel. 03-5573-4056