今年も恒例「夏のフェスティバル特集号」の時期がやってきました。話題の企画から、本格的な取り組みが増えている子ども向けの催しまで。一挙にご紹介します。
惜しくも敗れはしたものの、日本代表の決勝トーナメント進出で沸きに沸いている2002FIFAワールドカップ。今号がお手元に届く頃は横浜スタジアムでの決勝戦を目前に最高潮の盛り上がりになっているのではないでしょうか。その熱気が冷める間もなく、今年は東京の夏がパフォーミングアーツの一大交流場へと変貌します。
ここ数年、さまざまな芸術分野に横断的に触れることのできる「見本市」的な取り組みが夏場に集中して行われるようになってきました。そのきっかけとも言える「芸術見本市2002東京」「舞台芸術・芸能見本市2002大阪」をはじめ、ジャンルを越えた邦楽が体験できる「日本の音フェスティバル」(今年は東京・大阪の2都市で開催)、子どもを対象にした舞台を提供している演奏家や演劇人によるショーケース「子どもと舞台芸術出会いフォーラム2002」のほか、コンテンポラリーダンス系でも、フランスのバニョレ国際ダンスフェスティバルと連携して隔年で開催される「ダンスビエンナーレTOKYO」や国内外のダンスを総合的に紹介する「ジャパン・アーツ・ダンス・イベント2002」がスタートするなど、まさに東京全体がパフォーミングアーツの総合見本市状態になっています。
特に今年は、東京都がアジア各国の大都市と連携して進めているネットワークプロジェクト(ANMC21)の一環として、デリー、クアラルンプール、北京、ソウルなど8都市が参加する「アジア舞台芸術祭」(8月18日~23日、P7参照)が開催されることになり、芸術見本市との共同開催が決定。見本市会場でアジアのカンパニーを紹介するブース展示やシンポジウムが行われるほか、同時期に東京で開催されている各種フェスティバルとの提携も図られるとのことで、舞台関係者にとってはまたとない情報収集の機会になっています。
このほか、話題の取り組みとしては、帯広開拓120年と帯広商工会議所80周年記念事業として帯広競馬場を主会場にして行われる国際現代アート展「デメーテル」(P8参照)と、岡山市芸術祭のメイン企画「犬島アーツフェスティバル」があります。後者は、人口数十人の犬島に残る巨大な銅精錬工場を背景に劇団維新派の野外劇やダンスパフォーマンス等が行われるというもので、いずれも地域の歴史や空間資源とアーティストががっぷり四つに組む試みとして期待されています。
各地の老舗音楽祭も健在で、今年も新旧のフェスティバルが日本の夏を盛り上げてくれそうです。