北陸・中部
●名古屋市
名古屋市東文化小劇場
名古屋市民ギャラリー矢田
〒461-0047 名古屋市東区大幸南1-1-10
Tel. 052-719-0430 中島豊司
◎2001年11月8日オープン(ギャラリー矢田は10月26日)
市が各区に整備を進める小劇場(ホール)の10館目がナゴヤドームの隣接地にオープンした。市民の発表の場としての利用が主。年間数本程度実施する自主事業は、名古屋文化振興事業団の企画委員会にはかって決定する。開館記念事業では地元東区で活躍する団体に3日間施設を無料開放。公募により集まった50余りの団体が公演した。一般利用開始後は発表会のほか地元劇団の公演に活用され、ホール、練習室とも高い稼働率となっている。ギャラリーを併設しているのが特徴。
[オープニング事業]「東区民ミュージカル『鸚鵡籠中絵巻』」ほか(小劇場)、「現代美術2001 NAGOYA」(ギャラリー)
[施設概要]ホール(352席)、練習室1、第1~7展示室(床面積692m2)
[設置者]名古屋市
[運営者]財団法人名古屋市文化振興事業団
[設計者](株)三菱地所設計名古屋支店
●市民と密接に関わった地域活性・文化振興の核~中山道広重美術館
恵那市の中心、駅前通沿いに、中山道広重美術館がオープンした。この美術館は、財団設立趣意書に「中山道の街道文化を生かしたまちづくり活動の展開に努め、地域文化振興の取り組みを市街地のにぎわい再生や商業活性化に結びつけたい」と明記されているように市街活性化を目的とした施設で、理事には地元商店街組合長が就任するなど、商店街との連携を積極的に図っている。
空洞化が進む恵那駅前商店街地区では、駅周辺や商店街の街路整備に合わせて、旧恵那郵便局跡地に賑わいの核となる施設として同美術館を計画した。コレクションは、市内の篤志家から寄贈を受けた「木曽海道六拾九次」(変わり図含め71点)をはじめとする歌川広重の浮世絵版画約五百点。当初は借り受けて展示する予定だったが、所有者の元に市はもとより商工会が足を運び、信頼関係を築き、寄贈に至るなど、構想段階から商店街が積極的に関わった。
また、これまで商店街空き店舗での美術展開催や地域振興イベントへの参加など、まちづくりに目を向けた創作活動を展開してきた「まいか集団」(恵那市在住のデザイナーや工芸作家、料理店主らで構成)に美術館職員が参加。パートナーとして美術館の調度品製作、ミュージアムショップのオリジナル商品の提供などを連携して行っている。
同館では独自の展示架を考案したり、実際の風景を見ていない広重が種本にしたと言われる名所図会を並べるなど展示にも工夫を凝らしている。また、オリジナルの機材を作成し、浮世絵作成の仕組みや過程がわかるようにするなど、小規模な美術館ではあるが浮世絵に興味のない人にも楽しんでもらえる心遣いがなされている。特に、地場産業である段ボールの印刷技術を応用した、浮世絵の摺りを模擬体験できる機材が子どもたちに好評で、ほかの美術館にも普及しつつあるとか。
付近を中山道が交差し、かつての宿場町の旧跡も点在する恵那市では、開館に合わせて商店街が広重をモチーフにした土産品の開発を進めるなど、観光資源としての期待も高い。「小さな市が美術館を建設することに批判もないわけではない。さまざまな効果を地域に還元することで理解を得ていきたい」(小嶋事務局長)とのことだ。
●中山道広重美術館
[オープン日]2001年9月21日
[所在地]〒509-7201 岐阜県恵那市大井町176-1
Tel. 0573-20-0522
[設置者]恵那市
[運営者]財団法人中山道広重美術館
[設計者]株式会社車戸建築事務所
[施設概要]展示室2(168m2、95m2)、浮世絵ナビルーム、情報ギャラリー、実習室、図書室、ミュージアムショップ
[オープニング企画]木曾路の名所・図会~田中コレクション「木曽海道六拾九次之内」を中心に~