一般社団法人 地域創造

topics

●公共ホールのプロデュース作品が東京で競演

 最近、公共ホールがプロデュースした舞台の成果を東京で発表するケースが徐々に見られるようになってきました。年末には、栃木県総合文化センター開館10周年記念事業の「オペラ『日光』」が「東京文化会館舞台芸術創造フェスティバル」で上演されましたが、年明けから、仙台、金沢、新潟発の意欲作が次々と東京公演を敢行します。

 まず、1月22日、23日に世田谷パブリックシアターで上演されるのが仙台市青年文化センターがプロデュースした『イヌの仇討』です。「劇都仙台」宣言を行い、舞台技術養成講座、ワークショップ、戯曲賞、演劇専用稽古場(6月開館予定)など体系的な演劇振興策を実施している仙台市では、1996年からプロデュース公演をスタート。東京の演出家が仙台に1ヵ月半ほど滞在し、地元作家、地元俳優とともに年に1作ずつ制作してきましたが、「戯曲が課題」となり、昨年、はじめて井上ひさし作品『イヌの仇討』に挑戦しました。今回の東京公演はその再演です。井上版忠臣蔵に仙台の実力派俳優たちが総出で立ち向かった本格的な舞台で、地域の底力をぜひ見て欲しいとのことでした。

 2月1日~3日には、金沢市民芸術村の『蜃気楼』がシアタートラムに登場します。この作品は、98年から鐘下辰男(劇団THEガジラ)が「戯曲講座」での指導を続け、4年の歳月をかけて完成させたドキュメンタリープレイです。講座受講生が地元を題材に取材を重ね、ドラマドクターとともに2年かけて戯曲づくりを行い、その中から選ばれた1本を昨年のリーディング公演を経て、舞台化しました。

 昨年も東京公演を実施した新潟市民芸術文化会館は、4月6日、7日に池袋・サンシャイン劇場で野田秀樹の『半神』を全編オリジナル曲によりミュージカル化した意欲作を発表します。主演の安寿ミラに対するのは会館が育ててきた演劇スタジオの俳優たちで、こちらも制作に半年以上をかけたものです。地域が創造してきた舞台が、いよいよ本格的な評価を求める時代になってきたようです。

 

●『イヌの仇討』(仙台市、仙台市市民文化事業団主催)
[作]井上ひさし
[演出]宮田慶子
[出演]米澤牛、前田優作、南城和彦など地元8劇団から10名
●『蜃気楼』(金沢市民芸術村ドラマ工房創造発信事業運営委員会主催)
[作]林恒宏
[ドラマドクター]鐘下辰男
[演出]西川信廣
[出演]オーディションメンバー14名
●『半神』(新潟市民芸術文化会館主催)
[原作]萩尾望都・野田秀樹
[構成/作詞]岡本おさみ
[作曲]笠松泰洋
[演出/台本]山崎清介
[出演]安寿ミラ、演劇スタジオアクターコースメンバー

 

●出前寄席協力団体募集

あなたのまちを「落語」で元気にしませんか!

 落語は高齢者まで対象にできる上、オーケストラや舞台とは違って大掛かりな設備が必要でないため、どこでも開催できる――そこに目をつけたのが大津市民会館の「出前寄席協力団体募集 あなたのまちを『落語』で元気にしませんか!」という事業です。この事業は人間国宝・桂米朝一門の若手落語家を市内のホール以外の場所に派遣。寄席を開催し、笑いを通じて地域を元気にしようというもの。1997年から始まり、これまでに地元のお寺や観光施設などで実施し、いずれも満席の盛況となりました。

「大津市民会館では、1988年から桂米朝一門会を年に一度開催してきました。1300人収容のホールで上方落語を堪能していただいているのですが、もっと身近に落語に親しんでいただきたいという思いもあって、この事業が始まりました。大体100人が集まれる場所に、若手落語家4人程度を派遣しています。出演交渉や高座づくりなどの裏方の仕事は、市民会館の職員が担当。入場料も1000円に抑え、できるだけ多くの人に足を運んでもらえるよう努めているところなのですが、昨年度の派遣要請はゼロ。それまでは、年に数箇所はあっただけに残念です。私たちのPR不足もあるかもしれませんが、長引く不況のあおりを受けて地元の意志がまとまらず、中止になったケースも多々あるようです。落語を身近に楽しんでもらういい機会ですので、難しく考えず気軽に声をかけていただければと思います」(大津市民会館の卯田広友さん)

 

●あなたのまちを「落語」で元気にしませんか!
[問い合わせ]大津市民会館 Tel. 077-525-1234

カテゴリー