一般社団法人 地域創造

「アートアプローチセミナー」報告

 地域創造では、市区町村長や自治体の幹部職員を対象に、芸術文化による地域づくり等をテーマとした研修「アートアプローチセミナー」を企画しています。今年度は、8月2日、3日に市区町村長、助役、収入役の方を対象にしたセミナーを、8月23日、24日に自治体の財政・企画を担当する幹部職員の方を対象にしたセミナーを実施しました。

 

◎市区町村長セミナー

 市区町村長セミナーでは、滋賀県理事・県立芸術劇場びわ湖ホール副館長の上原恵美氏、静岡文化芸術大学学長・東京大学名誉教授の木村尚三郎氏の講演を行いました。

 

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講師の木村尚三郎氏

 上原氏には、「文化は人を創る。人が地域を創る。」と題して、地方の文化をいかに地域づくりに生かしていくかについて語っていただきました。上原氏は滋賀県の文化行政に長く携わっており、その豊富な実務経験を踏まえた講演は、行政の舵取りをしなければならないトップの方々には非常に具体的で説得力のあるものだったようです。
 木村氏には、「文化政策の時代」と題して、これからの地域づくりの方向性について歴史的な観点から語っていただきました。木村氏の講演は、文化、観光、農業などさまざまな分野について、従来の地域づくりの問題点を明らかにし、21世紀の地域づくりのビジョンをわかりやすく示すものであり、大変参考になったという感想を多数いただきました。

 

◎幹部職員セミナー

 幹部職員セミナーは、21名という少人数で2日間の日程で実施し、ワークショップ、レクチャーコンサート、講演、グループ討論を盛り込んだ中身の濃いプログラムとなりました。

 1日目は、芸術文化に親しむという趣旨で、ワークショップとレクチャーコンサートを実施しました。演出家の松本修氏を講師に迎えたワークショップでは、自己紹介から始めて、ゴムボールを使ったゲーム等を行い、最後には簡単なセリフによる演技まで体験。レクチャーコンサートでは、公共ホール音楽活性化事業登録アーティストによる生の演奏を聴きましたが、ホテルの一室で行った演奏会は、ホールでのコンサートとはひと味違った雰囲気となりました。少人数の聴衆のなか、身近にアーティストの息づかいを感じることができたことから、その贅沢な雰囲気に「昔の王侯貴族のよう」という感想も寄せられました。

 

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小林史真氏(ハーモニカ)による
レクチャーコンサート

 2日目は、芸術文化による地域づくりについて考えるという趣旨で、講演とグループ討論を行いました。まず、金沢市民芸術村村長の細川紀彦氏と株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員の吉本光宏氏の講演。引き続き、それらを踏まえてグループ討論に取り組みました。細川氏の講演は、金沢市民芸術村の取り組みを紹介するものであり、市民参加型の施設運営、24時間無休の施設営業など、これからの公共ホールの進むべきひとつの姿を示す大変興味深いお話でした。吉本氏には、今注目のアウトリーチ活動に焦点を当て、アメリカや日本の先進地域の事例を数多く紹介していただきました。グループ討論では、公共ホールの担当者として事業の企画を立案し、発表するという課題に取り組みました。時間切れで企画の立案までいかなかったグループもありましたが、それぞれ自らの自治体の抱える問題や新しい取り組み等について、活発な意見交換、討論がみられました。

 

●アートアプローチセミナー概要

◎市区町村長セミナー

[日程]8月2日(木)、3日(金)
[会場]全国市町村国際文化研修所(滋賀県大津市)
[講演]「文化は人を創る。人が地域を創る。」上原恵美(滋賀県理事・県立芸術劇場びわ湖ホール副館長)/「文化政策の時代」木村尚三郎(静岡文化芸術大学学長・東京大学名誉教授)

◎幹部職員セミナー

[日程]8月23日(木)、24日(金)
[会場]都道府県会館、麹町会館(東京都港区)
[講演]「地域づくりと金沢市民芸術村」細川紀彦(金沢市民芸術村村長)/「地域や市民を元気づけるアートの力~アウトリーチ活動を中心に~」吉本光宏(株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員)
[ワークショップ]松本修(演出家・俳優・演劇集団MODE代表)
[レクチャーコンサート]公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト:小林史真(ハーモニカ)、大森潤子(ヴァイオリン)

 

●アートアプローチセミナーに関する問い合わせ

地域創造芸術環境部 齋藤・坂田・山口
Tel. 03-5573-4067

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