近畿
●兵庫県揖保川町
揖保川町文化福祉総合会館(アクアホール)
〒671-1621 揖保郡揖保川町354-1
Tel. 0791-72-4688 前田和孝
◎5月1日オープン
町役場の北、揖保川のほとりに整備。図書館、社会福祉協議会事務所などからなる複合施設。初の本格的な町立ホールで、舞台装置、音響設備など最新機器を備え、座席にも十分なゆとりをもたせるなど空間や設備にこだわった。また一般の客席のほかに親子鑑賞室も設置。オープンに合わせ、町民からボランティアを募集、研修を行い、入場整理など運営面で活躍している。今後舞台裏の技術面でもボランティアの協力を予定している。[オープニング事業]大阪センチュリー交響楽団
[施設概要]多目的ホール500席、リハーサル室1、ギャラリー1、会議室2、研修室1、図書館
[設置・運営者]揖保川町
[設計者]株式会社小野建築設計事務所
●熊本県山鹿市・八千代座の解体復元修理が竣工
熊本県山鹿市にある国指定重要文化財の芝居小屋・八千代座が解体修理を終え、天井中央にシャンデリアの下がるハイカラな姿が蘇った。5月17日の竣工式に続き、18日~20日には片岡仁左衛門を座頭に「八千代座歌舞伎」を公演し、賑わった。
1910(明治43)年に建てられた小屋の解体修理は、綿密な調査と小さな部材1つに至るまで記号を書き込んで解体し、補強して復元する緻密な作業の連続だった。4年8カ月の期間と約7億円を投じて目指したのは“生きた芝居小屋”。“活用と保存の両立”を掲げた点が、従来の文化財修復との大きな違いだ。
増改築が繰り返されてきた八千代座は、全盛だった1923(大正12)年の姿に復元されたが、活用のために現代の設備も取り入れた。明治期の広告絵に彩られた天井板を折り上げると、舞台を照らすシーリングライトが降りてくる。音響設備や照明設備、映画用スクリーン、床暖暖房など、新しく採用した設備は、本体の部材を傷めることなく、本体内にひと回り小さく組み立てられた耐震用の鉄骨や、天井裏、床下をはうパイプの中に、将来の設備更新も考えて組み込まれている。
こうした文化財保存としては大胆な発想で行われた解体修理の成否は、山鹿市民の使い方にかかっている。市教育委員会文化課の企画で、解体修理期間中に工事の進行状況を公開した市民見学会は35回。竣工式直前の5月13日~15日には、「まず、市民に見せたい」(文化課)と6回の無料公演が行われた。ばってん荒川の芝居に興じながら、市民は「市民運動から始まって、市民が残そうと選択した小屋」(同)の価値を実感しただろう。
文化課八千代座係2人と山鹿振興公社から担当職員4人が常駐、6月1日から建物の公開が始まった。今後は市教育委員会が重要文化財の公開を主軸に、市民ホールとして、イベントを全国に発信する観光資源として管理、運営に当たる。年末までの日程表には、坂東玉三郎の舞踊公演や古今亭志ん朝の落語会に交じって、高校総体や市民の日本舞踊の発表会が並ぶ。3つの要素が過不足なく備わり、順調な滑り出しといえそうだ。
●八千代座
〒861-0501 熊本県山鹿市大字山鹿1499
Tel.0968-44-4004
◎5月17日リニューアルオープン
[オープニング事業]
平成こけら落とし 八千代座歌舞伎 片岡仁左衛門特別公演(5月18日~20日)
[施設概要]本舞台(まわり舞台、間口29.49m、奥行35.40m、延床面積1487.4m2、収容人数750人)、楽屋17室