今年も恒例「夏のフェスティバル特集号」の時期がやってきました。話題の企画から、本格的な取り組みが増えている子ども向けの催しまで。一挙にご紹介します。
●シンフォニア岩国と佐渡裕の取り組み
老舗クラシック音楽祭やジャズフェスティバルなどの常連組が顔を揃える中で、新しい取り組みとして注目されるのが、8月25日からシンフォニア岩国で開催される「岩国ミュージック・キャンプ」です。これは、世界的な指揮者の佐渡裕と気鋭の若手実力派プレイヤー約50名によって結成されたプロの吹奏楽団「シエナ・ウインド・オーケストラ」(以下シエナ)が、山口県内の小・中・高・大学生などの青少年を対象にクリニックを行うというもの。最終日のコンサートでは、シエナとオーディションで選抜したクリニック受講者の共演も予定されています。
「シンフォニア岩国では音楽による青少年の育成に力を入れ、管楽器などのレッスンを行う『管楽サマーフェスティバル』や小学生を対象にした音楽鑑賞教室、シンフォニア岩国が委嘱した新作合唱曲の地元合唱団(公募)による演奏会などを実施してきました。管楽サマーフェスティバルについて佐渡さんにご相談したところ、育成事業に大変興味をもたれていてプロデューサーとして参加していただけることになり、ミュージック・キャンプとして衣替えすることになりました」(企画推進課)
地元小学校に出かけて佐渡自らが音楽の授業を行うほか、音楽抜きで子どもたちと寝食をともにする合宿や、音楽の先生を対象にした指揮クリニック(音楽の先生が実際にシエナの演奏を指揮し、佐渡のクリニックで演奏が変わっていく模様を一般に無料公開する)なども企画されています。今後も継続するとのことで、夏の岩国からは目が離せなくなりそうです。
●邦楽と子どもをテーマとした舞台芸術の“見本市”
この夏、ちょっと変わった2つの催しが国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されます。この施設は、東京オリンピックで選手村として使用された建物を改修したもので、スポーツ棟、宿泊棟、国際交流棟に加え、今年の6月に大ホール(758席)、小ホール(384席)、音楽・演劇練習室、工房などからなるカルチャー棟が新しくオープンしました。
そのオープニング記念事業の一つとして、子ども系舞台芸術に関する見本市とも言える「子どもと舞台芸術・出会いのフォーラム2001」(7月19日~29日)が開催されます。これは、子どもと舞台芸術に関わる8団体(日本劇団協議会、日本児童・青少年演劇劇団協議会、日本児童演劇協会、日本青少年音楽芸能協会、全国専門人形劇団協議会、子ども劇場首都圏、全国公立文化施設協会、日本芸能実演家団体協議会)が実行委員会を組織して実施するものです。「子どもにとって舞台芸術はなぜ必要か」を考える基調講演を含むセミナー(8本)、音楽、演劇、人形劇、舞踊などさまざまなジャンルのショーケース(約40公演)やワークショップ(16本)、団体紹介、交流の広場など、大人もこどもも参加できる多彩なプログラムが用意されています。
もう一つの見本市が、トピックス(P6参照)で紹介した日本で初めての邦楽・和楽器の総合フェスティバル(8月29日、30日)です。和楽器の展示から義太夫、清元などのショーケース、ワークショップ、コンサートまであらゆる邦楽が一堂に会します。
子ども系舞台芸術と邦楽をまとめて体験するいい機会かもしれません。