一般社団法人 地域創造

平成12年度財団事業紹介

演劇、美術分野のネットワーク事業が本格的にスタート

 

●平成12年度事業スタート  
  4月を迎え、地域創造でも今年度の事業がスタートしました。昨年度モデル事業として実施した演劇、美術分野の事業が本格始動するほか、新規事業を含め13事業を実施します。今号では、各事業の最新のトピックスを中心に、平成12年度事業についてご紹介します。

 

◎演劇、美術のネットワーク事業本格始動

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  公共ホールが共同で演劇作品の製作に取り組む「演劇製作ネットワーク事業」が、本格始動します。今年度は、地域創造と全国7つの公共ホールが、三島由起夫原作の戯曲『サド侯爵夫人』の舞台化に取り組みます。出演は夏木マリ氏ほか、公共ホール専属劇団員3名を含む6名。スタッフには、総合プロデューサー兼照明に鈴木忠志氏が就任するほか、演出に原田一樹氏(劇団キンダースペース主宰)、装置プランナーに朝倉摂氏を迎えます。

 

  2001年1月から2月にかけて、静岡芸術劇場を皮切りに全国7カ所で19公演を予定しています。

  美術分野では、「市町村立美術館等活性化事業」が本格始動します。今年度は、岡山県立美術館と鹿児島市立美術館の協力を得て、両館の所蔵作品を中心に「明治・大正/日本洋画の青春」(仮称)を開催します。黒田清輝の「雪景」(鹿児島市美所蔵)、満谷国四郎の「裸婦」(岡山県美所蔵)などの素晴らしい作品が出品される予定です。10月~12月にかけて全国3会場で開催します。

 

◎公共ホール音楽活性化事業~新規アーティストにより全国15地域で開催

 

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  地域創造の登録アーティストが、各地でコンサートと地域交流事業を行う「公共ホール音楽活性化事業」。今年で3年目を迎え、登録メンバーが一新しました。2000年・2001年度の登録アーティストは、全国144名の応募者より選ばれたクラシックの演奏家10名と1団体。木管五重奏やクロマチックハーモニカなど新しい楽器も加わって、ますます新鮮な舞台が期待されます。

◎活躍めざましい全国の劇団、オケを紹介

 

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  地域の劇団を紹介する「リージョナルシアター・シリーズ」では、全国6地域より6劇団が登場します。特に最近評価の高い関西からは、劇団八時半(京都)、PM/飛ぶ教室(大阪)が出演。今年は、会場を世田谷パブリックシアターとシアタートラムほかに移し、11月6日~26日にかけて開催します。

  97年度より、東京以外のプロオーケストラを3年間に渡り紹介してきた「地方都市オーケストラフェスティバル」。墨田区文化振興財団と地域創造が共催で開催し、昨年度一旦終了しましたが、地域のプロオーケストラの実力を知る場として高い評価を受けたことから、実行委員会形式により継続して実施することになりました。会場は、すみだトリフォニーホール。2001年1月から3月にかけて、山形交響楽団、九州交響楽団ほか7つのオーケストラが出演予定です。

 

◎研修交流事業~ステージラボ第1弾は金沢市民芸術村

 

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 公共文化施設職員の研修の場としてすっかり定着した「ステージラボ」。今年度は第1弾を7月に石川県金沢市の金沢市民芸術村で開催します。現在参加者を募集中です。第2弾は2月に熊本県の熊本県立劇場で開催する予定です。また、今年度より新しく地方自治体の首長と、人事、財政、企画等担当の幹部職員を対象に、芸術文化を通じた地域振興策等を学んでいただく「アートアプローチセミナー」を独自事業として開催することになりました。

  5回目を迎える芸術見本市は、例年より1カ月早い8月3日、4日に東京国際フォーラムにおいて開催。昨年度好評だったダンスなどのショーケースが一層充実する予定です。

 

  そのほか、支援事業・助成事業関係の募集時期と締切を右ページ表に整理しました。昨年度と時期が異なるものもあります。各募集案内・要綱をご参照ください。

 

平成12年度財団法人地域創造事業計画

●コースコーディネーター

山形洋一(喜多方プラザ文化センター館長)

1 事業名   財団法人地域創造事業

2 事業の目的

地域における創造的で文化的な表現活動のための環境づくり等に資する事業等を行い、もって美しく心豊かなふるさとづくりの推進に寄与することを目的とする。

3 事業の内容

平成12年度において、次の事業を実施する。             

計 1,315百万円

 

(1)地域の芸術環境づくり支援事業    597百万円

地方公共団体等が自主的に実施する、創造的で文化的な芸術活動の地域における環境づくりを支援するため、次の4プログラムで構成する事業に対して助成を行う。

ア 創造プログラム

芸術創造活動の環境づくりに関し、顕著な工夫があり、段階的・継続的に実施する事業を支援。

イ 連携プログラム

共同で企画・制作して取り組む事業を支援。

ウ 単独プログラム

地域の人々の参画を伴いながら単独で取り組む事業を支援。

エ 研修プログラム

地方公共団体等の職員を対象とした実践的な研修の場を提供する事業を支援。

(2)研修交流事業         73百万円

地域の芸術環境づくりに取り組む公共ホール、劇場等のスタッフ等に向けて、研修・交流事業を展開する。

ア ステージラボ~公共ホール等企画運営ワークショップ~

事業の企画制作、施設運営、地域との関わりなどホール、劇場等のソフト運営に欠くことのできない要素を体得するための研修を行う。研修は、講師と参加者の双方向のコミュニケーションを重視し、実践的な内容に取り組めるよう少人数ゼミ形式により、集中的に実施する。

イ ステージクラフト~舞台技術ワークショップ~

公立ホールや劇場で舞台技術又は事業企画・制作に携わるスタッフを対象に、舞台技術に関する実践的な研修の場を提供し、人材の育成と相互交流(ネットワークの形成)を図る。

ウ 芸術見本市

地域文化施設や地方公共団体等の関係者が国内外の制作者やアーティストと直接出会い、情報交換できる場を提供する。舞台芸術に関与する様々な立場の人々との交流・ネットワークづくりを図るとともに、舞台芸術が置かれている現状や環境について理解を深め、地域と芸術との関わりを考えるためのセミナー・シンポジウム等を開催する。

エ アートアプローチセミナー

地方公共団体の長及び財政、企画等に携わる幹部職員等を対象に、地域の芸術文化についての理解を深める研修を実施する。

(3)情報交流事業            80百万円

地域の文化施設同士、また地域の文化施設と制作者等の芸術文化関係者との間の情報交流を支援するメディアを構築する。

ア ニュースレター発行事業

当財団と、各地域の文化施設、制作者等の芸術文化関係者とをつなぐ基本的な媒体として、各地域のユニークな公演・展示の情報、参考となる各地の取組事例、当財団の事業のお知らせ等を軸に毎月定期的に発行する。

イ 雑誌発行事業

芸術環境づくりのケーススタディーや文化施設の有効な運営方法を模索する企画記事等を内容とする雑誌「地域創造」を年2回発行する。

ウ ネットワーク/データベース事業

インターネット上にホームページを開設して情報提供・交流を行うほか、当財団が収集した地域の芸術文化に関する情報の蓄積・データベース化も図る。

(4)調査研究・コンサルティング事業     20百万円

地域の芸術環境づくりについて全国的な視点から実態の調査・分析・研究を行い、それらの成果を積極的に活用して相談や疑問に応える。

[調査研究項目]

・地域文化施設における芸術普及活動に関する調査研究

より効果的な芸術普及活動を実施するため、その現状や課題などを調査する。

・地域文化施設のハード・ソフトに関する調査

地域文化施設のハード・ソフト両面にわたるデータの集積・分析をするため、悉皆調査を実施する。

(5)芸術提供・共催事業 78百万円

地方公共団体等と共催し、地域のニーズを踏まえた質の高い音楽、演劇、伝統芸能等の公演を実施する。

[実施事業]

・新日本フィルハーモニー交響楽団公演

・舞台芸術活性化事業

・国立劇場歌舞伎公演

・「能楽座」能・狂言公演

(6)地方都市オーケストラフェスティバル事業 12百万円

地方都市オーケストラを首都圏において紹介することにより、地方の音楽文化の全国への情報発信を促進する。

(7)公立美術館等デジタルアーカイブ整備事業 12百万円

公立美術館等がハイビジョン・ソフトの整備を促進しようとする取り組みに対して助成するとともに、公立美術館等の収蔵品の記録等に関するデジタル化・ネットワーク化等の推進方策等について検討する。

(8)公共ホール音楽活性化事業 31百万円

地域の公共ホールと共催で、親しみのあるクラシック・コンサートと地域との交流を図るプログラム(ワークショップ等)を開催する。これにより、クラシック音楽に触れる機会の少ない地域にコンサート等を提供するとともに、事業の企画・制作を通じて、公共ホールの担当者が実践的なノウハウを修得するための機会も提供する。

(9)地域舞台芸術情報発信事業 13百万円

地域の公共ホール等を主たる活動拠点として地域の芸術文化活動を支える地域劇団等の紹介とアートセミナーを東京国際舞台芸術フェスティバルの一環として実施する。これにより、地域の芸術文化情報の全国への発信を促進するとともに、地域の芸術文化環境の活性化を図る。また、地域のホール関係者相互間の情報交流、ノウハウ修得にも努める。

(10)市町村立美術館等活性化事業 13百万円

市町村立美術館等の活性化を目的に、都道府県域を越えた複数の美術館等による巡回展示事業に対して助成を行う。あわせて、各美術館等のネットワーク形成を促進し、情報交換によるノウハウの修得、職員のプロデュース 能力の向上を図る。

(11)公共ホール演劇製作ネットワーク事業 34百万円

単独の公共ホールでは実施困難な演劇製作等を、地域創造と複数の公共ホールの連携作業により、共同で実施する。これにより、企画・製作・公演の一連の工程について、参加公共ホールの職員のノウハウ修得及び研修の強化に努めるとともに、地域住民に対する鑑賞機会の拡大に資する。

(12)地域伝統芸術等保存事業 326百万円

失われつつあり、記録に残されていない各地域の伝統芸術(祭り、伝説、神話、民話、伝統技能、習俗等)を保存・承継するための文化環境づくりを支援する。

ア 映像記録保存事業への助成

失われつつあり、記録に残されていない各地域の伝統芸術をデジタルビデオに編集・記録する市町村事業に対して助成を行う。

イ 都道府県イベント事業への助成

住民の地域伝統芸術等に対する意識啓発を目的に実施する都道府県レベルのイベントに対して助成を行う。

ウ 映像ライブラリーの設置

アにより作成された映像記録を広く活用する場として、地域創造に映像ライブラリーを設置する。

エ 全国イベントの実施

伝統芸術に対する国民的機運の盛り上げを図るため、全国イベントを開催する。

(13)日韓・日中自治体国際文化交流支援事業 26百万円

日韓中における文化交流について、地域に根ざし、地域主導の文化交流事業の取り組みを一層盛んにするため、地域レベルで行われる文化交流事業に対して助成を行う。

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