もうすぐ夏。今年も、子供たちの夏休みに合わせたホール・美術館の企画する特別企画と、全国各地のフェスティバル情報を一挙紹介します。
ホール・美術館夏休み子ども企画カレンダー&夏フェスティバルカレンダーへ
●ボランティアが活躍する夏の美術館
大人も子どももいつもと違う体験がしたくなる夏休み。この時期、各地の美術館で、普段足を運ばない人たちに向けた「美術館入門」的な企画が開催されますが、最近、こうした企画に学校の先生やボランティアのアイデアを生かす美術館が出てきました。
熊本県立美術館の「夏休み子ども美術館」では、展示方法や関連企画などを、有志の先生とボランティアで構成する「わーくしょっぷの会」と共同で企画しています。今年のテーマは古美術。『百鬼夜行図巻』など、幽霊やお化けが描かれた絵巻物が多く展示されます。「先生たちの発案で、展覧会を観た子どもたちから、“わたしの考えた妖怪”を募集して、本館とホームページで公開しようということになりました。(実現しませんでしたが)ワークシートを絵巻物風にしたら?など、いろんなアイデアが飛び出しますよ」と学芸員の坂本正文さん。
佐倉市美術館(千葉県)では、毎夏、市内各地でワークショップを展開する「体感する美術」という企画を実施しています。今年は、公募により集まった市民15人と、美術館、アーティストが共同で企画を練りました。市民メンバーが共通して持っていた「このまち、自分、とアート」という問題意識を話し合う中で「見えない佐倉を視る~ミエナイ・サクラヲ・ミル」というテーマが決定。メンバーは“アーティスト研究班”“ワークショップ研究班”に別れ、画廊廻り、アーティストの選定など大忙しで準備を進めているとのこと。「まちの星座をさがそう-佐倉プラネタリウム」など、“佐倉市”そのものを素材にした5本の企画を実施する予定です。
●PMF10周年、霧島国際音楽祭20周年
財政状況の悪化により、中止や中断となるフェスも少なくない中、しっかりと地域に定着し10年、20年目を迎える音楽祭もあります。まず、北海道を代表する夏の音楽祭、PMFが今年10周年を迎えます。PMFでは世界的な指揮者、教育家であった故バーンスタインが提唱した「国際教育音楽祭」という理念に基づき、オーディションによって選ばれた若手音楽家を、一流の講師陣により指導する「PMFアカデミー」を事業の柱にしてきました。今年は10周年を記念して、世界各地で活躍するPMF修了生と教授陣らによる特別オーケストラ「PMF10」を編成。芸術監督マイケル・ティルソン・トーマスの指揮で札幌、大阪、東京で演奏会を開催します。
ゲルハルト・ボッセ氏を音楽監督に鹿児島県でスタートした霧島国際音楽祭・講習会は今年で20周年。こちらも、20周年を記念して修了生によるオーケストラを編成。ボッセ監督の指揮により鹿児島と東京で記念演奏会を開催します。
日本の北と南で生まれ育った2つの音楽祭。その集大成ともいえるオーケストラのコンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか。
●PMF 10コンサート
7月10日/札幌コンサートホールKitara、7月12日/ザ・シンフォニーホール(大阪)、7月13日/サントリーホール(東京)
●霧島国際音楽祭・講習会20周年記念オーケストラコンサート
8月9日/鹿児島県文化センター、8月11日/サントリーホール(東京)