一般社団法人 地域創造

アーツセンター情報

関東

●横浜みなとみらいホール(横浜市)
 
〒220-0012 横浜市西区みなとみらい2-3-6
Tel. 045-682-2020 [担当]中村ひろ子
98年6月5日オープン
クラシック音楽専用の大小2つのホールをもつ施設。小ホールは2月に先行オープン(3月号にて紹介)。大ホールはゆとりのある座席、ビュッフェを3カ所に配するなど落ち着いた雰囲気の中で鑑賞できる。そのほか、ゆとりのある楽屋、舞台裏のアーティストラウンジなど出演者がリラックスできる環境も整備した。大ホールでは、国内外のオーケストラを中心とするほか室内楽やジャズなどを予定。また、パイプオルガンを活用した企画も取り入れる。そのほかの特徴として、全エリアから選択できる「Y席」を自主事業に設定し、学生などを対象に、3000円でチケットを提供するシステムを導入する。
 
[オープニング事業]ニューヨーク・フィル演奏会(6月5日)
[施設概要]大ホール(2020席)、小ホール(440席)、リハーサル室、音楽練習室6、レセプションルーム
[設置者]横浜市
[運営者]横浜市文化振興財団
[設計者]日建設計


●名東文化小劇場(名古屋市)
 
〒465-0025 名古屋市名東(めいとう)区上社1-802
Tel. 052-726-0008 [担当]深澤淳一郎
98年6月16日オープン
名古屋市が各区に順次整備している小劇場の6館目。バスターミナル、レクリエーションルーム、集合住宅などからなる複合施設で、ホールは3、4階部分に設置されている。オープニング事業では、地元に伝わる昔話を素材として、クラシックバレエ、モダンダンス、日本舞踊など地元の文化団体などが参加する「名東区芸術文化フォーラム」が協力してつくり上げた音楽舞踊劇を上演する。
 
[オープニング事業]音楽舞踊劇『香流川』(6月20日)、邦楽、ダンス公演ほか(6月25日~28日)
[施設概要]ホール(356席)、楽屋2、練習室
[設置者]名古屋市
[運営者]名古屋市文化振興事業団
[設計者]名古屋市交通局、山下・岩崎設計共同体
 

九州・沖縄

●城島町総合文化センター(福岡県城島町)
 
〒830-0292 三瀦郡城島町(じょうじままち)大字楢津1-1
Tel. 0942-62-2110 [担当]今村慈
98年5月19日オープン
庁舎に隣接して建てられた複合文化施設。ホール、図書館、研修施設が入る。ホールは多目的な利用が可能なプロセニアム形式を採用。外観は特産品である清酒の造り酒屋の蔵をイメージ。ホール内部に木材を多用し、あたたかみを出す。地元文化団体の利用に供するとともに、クラシック、民謡、演劇など幅広いジャンルの公演を実施し、舞台芸術の鑑賞の機会を住民に提供していく予定。そのほか、子どもを対象とした映画祭も企画する。
 
[オープニング事業]九州交響楽団演奏会、地元文化団体による公演(7月)
[施設概要]インガットホール(598席)、イベントホール(150席)、ギャラリー(342m2)、研修室2
[設置・運営者]城島町
[設計者]環境デザイン研究所


●沖縄市民小劇場(あしびなー)(沖縄県沖縄市)
 
〒904-0004 沖縄市中央2-28-1 コリンザ3階
Tel. 098-934-8487 [担当]神谷貢
98年5月17日オープン
複合商業施設内に設置された文化施設。愛称は「遊びの庭」に由来する方言で、市民が気軽に立ち寄れる施設を目指す。施設利用に関しては、利用者の利便を考慮し、リハーサルや仕込みの場合に限って24時までの利用を可能とした。地元劇団の座長を館長兼芸術監督に、そのほかプロデューサーを招き運営に当たる。貸し館事業のみならず、独自の音楽文化などを生かした地元密着型の企画など多彩な事業を展開していく予定。
 
[オープニング事業]パレード、伝統芸能祭(5月17日)、島うた・ジャズ等演奏会(5月~6月)
[施設概要]ホール(290席)、楽屋5、スタッフ室、楽器庫
[設置・運営者]沖縄市
[設計者]長谷部建築研究所・エン設計・ウイング建築設計事務所

 

クローズアップ

シリーズ化と効果的PRで東京近郊の鑑賞者市場を開拓~グリーンホール相模大野

 

●立地と設立の経緯

 

 新宿から急行で37分、小田急線相模大野駅から徒歩5分。買い物客で賑わうショッッピングアーケードと伊勢丹百貨店を通り抜けると、グリーンホール相模大野がある。

 

 グリーンホールは、在日米軍跡地の返還を契機に進められた駅前整備事業の一環として建設され、1990年にオープンした。東京近郊ホールの多くが、観客は東京へ、類似ホールの競合、ホールのイメージづくりの難しさ、という悩みを抱える中で、グリーンホールは、駅前の商業施設と一体に開発された立地の良さを生かし、ホールの存在を効果的にPRし、市内外の観客をつかんできた。稼働率91%以上、年間80本実施する自主事業では、チケット回収率平均75%。この数字からもグリーンホールの事業の活発さがうかがわれる。

 

 

●運営の特徴と自主事業

 

 グリーンホールを運営するのは、相模原市民文化財団。民間の発想を重視し、柔軟な運営を保証するためにオープンの前年に設立された。年3回開かれる評議員会では、事業の運営方針の承認のみ受け、個々の事業企画は事務局に任されている。プロデューサー等民間の専門家はおかず、年間80本という自主事業の企画、運営のすべては財団職員が行っている。「財団職員になるべくノウハウを蓄積し、主体性を重視するようにしています。事業を支えるのは職員の意欲ですから」(石川寛良事業課長)。

 

 自主事業の方針を決定するにあたっては、全国の公共ホールの事業を調査。多くのホールが類似の鑑賞事業の提供に終始しているのに対し、東京近郊の地の利を生かしたプログラムの可能性があるのではないかと、鑑賞事業に徹底して力を入れることになる。平成9年度年間82本の自主事業の内訳はクラシック33本、軽音楽12本、演劇・舞踊13本、日本伝統芸能等13本、市民文化育成事業11本。アクセスの便利さから90%以上の高い利用率がある貸し館事業と総合すると、各ジャンルが非常にバランス良く提供されている。「いろんなジャンルをやっていてポリシーがない、と言われるんです。その時は、ポリシーがないのがポリシーですと答えてるんですよ」と石川課長。

 

 

●シリーズ化によるイメージづくりとPR

 

 だが、グリーンホールの事業は総花的に見えない。それは、自主事業において、個別の事業をシリーズ化し、継続して実施することで、効果的にホールのイメージをつくり出し、観客をつかむことに成功しているからだ。クラシック関連のシリーズで目玉になっているのが、毎年恒例「クラシック・ベスト・コレクション」である。海外招聘の大規模なオーケストラ、バレエ、オペラの公演を毎年3本行うというもので、今年度は、ハンガリー国立歌劇場オペラ、バンベルク交響楽団、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの3本を実施する予定だ。このシリーズのPR効果は大きく、「グリーンホールでは、東京に行かなくても一流の公演が観られる」というイメージを定着させた。

 

 一方、クラシックになじみがない層を対象としたのが、今年で6年目を迎える「MUSIC LAB」シリーズ。毎年テーマを決め、年4回、クラシックの多様な楽しみ方を探るコンサートを開いている。今年のテーマは「バロックの華・ロマン派の夢」。各回ワインサービス付きなどの趣向や、セット券では4回7000円(98年度)という手軽さもあって、非常に人気が高い。

 

 こうした事業を対外的にアピールするために配布されているのが広報紙「MOVE」である。毎月25万部を発行し、新聞折り込みで市内全戸配布するほか、年1回の特集号(60万部)は、小田急線沿線などの他都市にも新聞折り込みで配布している。高いチケット回収率も、こうした事業プログラムの工夫、徹底した広報により、確実に市内外の観客を惹きつけた結果といえる。 今年の4月から、これまで市の直営だった市民会館が財団の所管となり、市の北部には新しい小ホールが開館する計画も進んでいる。「2000年に10周年を迎えるにあたって、今年は事業を少し減らして文化会館の事業について考える時間が欲しいですね」と石川課長。グリーンホールに蓄積されたノウハウが市全体の文化振興にどう生かされるかが、新しい課題となりそうである。

 

◎クラシック関連のシリーズ
1)クラシック・ベスト・コレクション
毎年恒例。海外招聘ものを中心に、大規模なオーケストラ、バレエ、オペラ公演など年に3本を実施。これまで、ベルリン国立歌劇場、チェコフィルハーモニー管弦楽団、英国ロイヤルバレエ団、ローラン・プティ・バレエ団、パリオペラ座バレエ団などの公演を開催している。

 

2)MUSIC LAB 音楽の実験室
毎年テーマを決めて、小ホールで親しみやすい雰囲気のクラシックのコンサートを開催。92年度にスタート。年4回。97年度のテーマは「シューベルト、そしてウィーン」。

 

3)音の彫刻シリーズ
97年度スタート。注目のアーティストによるソロ・コンサートシリーズ。年5回。

 

4)さがみはらの音楽家たちコンサート
相模原在住の音楽家が組織する相模原音楽家連盟と提携したコンサート。年3回。

 

5)モーツァルト・ピアノコンチェルト・シリーズ
94年度からスタート。モーツァルトのピアノコンチェルト全曲を演奏するシリーズで、97年度第12回で終了。

 

 

◎グリーンホール相模大野概要

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[開場]1990年1月
[施設概要]大ホール(1790席)、多目的ホール(415m2)、リハーサル室、練習室
[事業費と体制]事業総額約3億円。内35%が市からの補助金。ホール職員数20名(事務局長1、職員19。内財団固有職員10)。運営は相模原市民文化財団。
[所在]神奈川県相模原市相模大野4-4-1

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