一般社団法人 地域創造

平成10年度財団事業決定

平成10年度事業スタート

ホールと共同で行う新事業を加え、7本柱の事業内容決定

 

 昨年度中は財団の事業に多大なご協力をいただきましてどうもありがとうございました。平成10年度の事業につきましては右のように決定しましたのでお知らせいたします。

 

 事業総額は7億6千180万円。事業内容は、従来よりも事業の枠が1つ増えて、(1)地域の芸術環境づくり支援事業、(2)研修交流事業、(3)情報交流事業、(4)調査研究・コンサルティング事業、(5)芸術提供・共催事業、(6)公立美術館等ハイビジョン・ソフト購入助成事業、(7)公共ホール音楽活性化事業の7本柱になりました。

 

 支援事業については、財政難の折から、できるだけ地域への支援を増やしたいということで増額しました。ご好評をいただいているステージラボは、本年度も2回実施する予定で、第1回目を札幌で開催します(開催概要)。このほか、高い関心を呼んでいる市民参加事業をテーマにした調査研究の実施など、本年度も地域における芸術環境づくりに努めてまいりたいと思っております。みなさまのご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

●蓼沼朗寿常務理事兼事務局長

 

 財団も設立4年目を迎え、事業内容がルーティーン化し始めていることもあり、少し新しい試みをやろう、一歩踏み出そうと新たな事業を考えました。「公共ホール音楽活性化事業」です。これは、自主事業をやりたくてもできない小さな公共ホール、事業経験を積みたいと思ってもなかなか機会のないホール職員、活躍の場を探している若手の演奏家、それから聴衆の育成を考えているクラシック業界という、4つのニーズを合わせたちょっと欲張りな事業です。

 

 まず事業を実施するホールの担当者を対象にして、事前に研修会を開催します。クラシック公演のノウハウ等について勉強してもらった後、日本クラシック音楽マネジメント協会の協力を得て若手演奏家のコンサートを実施します。地元の学校でワークショップなどを行いたい場合は企画・制作にも協力できる体制になっていますので、これまで生のクラシック音楽や演奏家と触れ合う機会に恵まれなかった地域の方々に応募していただければと思っています(応募要綱)。

 

 それから芸術提供・共催事業については、美術の分野で新しい方式を採用しました。地域の複数の美術館が企画・巡回する展覧会について、実行委員会をつくっていただき、そこに地域創造が加わり、経費の一部を負担するというものです。この方式により開催するのが、今年度の「デイヴィッド・コレクション展」(「英国祭UK98」の一環として来日する世界屈指の陶器コレクション)です。これまで、美術館の要望と当財団の支援制度がなじまない部分があり、美術分野への支援が少なかったのですが、これを契機に、さまざまなかたちで美術館への支援を充実させていきたいと考えています。

 

 このように、当財団の助成事業については、「こういうかたちの支援が欲しい」、「ここを変えてほしい」といった声を皆さんに出していただければ、地域の方にとって使いやすく、使い甲斐のある制度を考えていきたいと思っています。ステージラボの卒業生も数百人になり、全国で活躍されていることですので、財団とのパイプ役になっていただければと思います。

 

 公共ホールの現場を見ていますと、トップと、財政に縛られて事業費の枠の中で悩んでいるホール担当者の間に、意識のズレを感じることがあります。ホールの目的や活用について、基本的なことを忘れがちになるからなのでしょう。

 

 この度発表された「21世紀の国土のグランドデザイン」の中にこれからの国土づくりに必要なこととして、地域の主体性と「文化の創造に関する施策」が明記されていますように、市民の生活を豊かにし、地域を豊かにするために芸術環境づくりがあるのだと思います。生活の豊かさを実感させる公共ホールの活用のために、私どもも一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 

 

平成10年度 財団法人地域創造事業計画

 

1 事業名 財団法人地域創造事業

 

2 事業の目的
財団法人自治総合センター等の助成金等を財源として、地域における創造的で文化的な表現活動のための環境づくり等に資する事業等を行うとともに、宝くじの普及広報に関する活動を行い、もって美しく心豊かなふるさとづくりの推進に寄与することを目的とする。

 

3 事業の内容
平成10年度において、次の事業を実施する。
計 761,800千円

 

(1)地域の芸術環境づくり支援事業 450,000千円
地方公共団体等が自主的に実施する、創造的で文化的な芸術活動の地域における環境づくりを支援するため、次の4プログラムで構成する事業を行う。
ア 創造プログラム
芸術創造活動の環境づくりに関し、顕著な工夫があり、段階的・継続的に実施する事業を支援。
イ 連携プログラム
共同で企画・製作して取り組む事業を支援。
ウ 単独プログラム
地域の人々の参画を伴いながら単独で取り組む事業を支援。
エ 研修プログラム
地方公共団体等の職員を対象とした実践的な研修の場を提供する事業を支援。

 

(2)研修交流事業 71,000千円
地域の公共ホール・劇場や地方公共団体で芸術文化に携わる職員等のために、次の研修・交流事業を行う。
ア ステージラボ・プロジェクト
地域の芸術文化の振興を担う人材の育成とネットワークの形成を目的として、少人数のゼミ形式で実施する双方向の実践的研修。
イ 芸術見本市事業
舞台芸術の発展に不可欠な「観る人・創る人・支える人」の連携を求めて、舞台芸術に携わる様々な立場の人々と直接交流する場の提供及び舞台芸術の現状や環境について理解を深めるための研修の実施。
ウ 舞台技術研修事業(ステージクラフト~舞台技術ワークショップ~)
地域の公共ホール・劇場で舞台技術及び事業企画・制作に携わる職員のための舞台技術研修事業。

 

(3)情報交流事業 69,600千円
地域の公共ホール・劇場や地方公共団体などの芸術文化に携わる職員、制作者等の間の情報の交流を支援する次の事業を行う。
ア ネットワーク/データベース事業
インターネットのホームページによる情報提供など情報ネットワークを活用した事業及び地域への情報提供の基礎となるデータベースの構築。
イ ニュースレター発行事業
各地の公演・展示の情報や取組事例の紹介、財団の広報等を内容とする地域創造レターを毎月発行。
ウ 雑誌の発行事業
地域の芸術環境づくりのための振興事例、基礎的知識を提供する実用誌として、雑誌「地域創造」を年2回発行。

 

(4)調査研究・コンサルティング事業 33,200千円
地域の芸術環境づくりに関し、全国的な視点から実態の調査・分析・研究を行うとともに、その成果を活用して関係者の疑問や相談に対応する事業を行う。
[調査研究項目]
・ホールにおける市民参加型事業に関する調査研究
…市民参加型事業の現状や課題を明らかにし、より効果的な事業実施のための改善策等を調査する。
・公立ホールの舞台技術に関する調査研究
…公立ホールの舞台技術業務の現状と課題を明らかにし、より充実した自主事業実施のための改善策等を調査する
・公共文化施設の建築等に関する調査研究

 

(5)芸術提供・共催事業 101,000千円
地方公共団体等と共催し、地域のニーズを踏まえた質の高い音楽、演劇、伝統芸能等の公演を実施する。
[実施事業]
・新日本フィルハーモニー交響楽団公演
・舞台芸術活性化事業
・「能楽座」能・狂言公演
・雅楽公演
・第2回地方都市オーケストラフェスティバル
・英国デイヴィッド・コレクション展(仮称)

 

(6)公立美術館等ハイビジョン・ソフト購入助成事業 17,000千円
公立美術館等がハイビジョン・ソフトの整備を促進しようとする取り組みに対して助成を行う。

 

(7)公共ホール音楽活性化事業 20,000千円
クラシック音楽に触れる機会の少ない地域の公共ホールにおいて、新人アーティストによる親しみのあるクラシック・コンサートやワークショップを開催する。また、この公演の企画・制作を通じて、公共ホールの担当者が公演実施に関する実践的なノウハウを修得するための機会もあわせて提供する。

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