一般社団法人 地域創造

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●トピックス
「浜松市アクトシティ音楽院」開設
浜松市は、これまで実施してきた音楽事業を整理し、音楽教育機関「浜松市アクトシティ音楽院」を開設する。マスター、ゼネラル、コミュニティの3つのコースを設け、市民から若手音楽家までを対象に15の講座を開講。マスターコースでは、世界的に活躍する人材の育成を目指し、「浜松国際ピアノアカデミー」「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバル」と、「イーストマン音楽学校夏季セミナー」を開催。一般を対象としたコミュニティコースでは、音楽リーダー育成講座、世界の楽器のレクチャーコンサート、子どもを対象とした音楽鑑賞教室など9つの講座を開催する。事業運営はアクトシティ浜松運営財団が行う。

 

[問い合わせ]浜松アクトシティ音楽院事務局
〒430-7790 静岡県浜松市板屋町108-1 研修交流センター2階 Tel. 053-451-1150

 

●voice
「STスポット活動記録1987-1997」発行~横浜の小空間10年の足跡
STスポット館長 岡崎松恵

 

 STスポットは、横浜市が設立した小空間である。1987年11月、オフィスビルの地下の一角にひっそりとオープンした。総面積116平方メートル、間口三間×奥行二間半の舞台をつくると客席数はわずか60席。行政がつくったハコとしては、おそらく最小規模ではないだろうか。横浜市は、この空間を市民文化推進のためのアンテナショップと位置づけ、既存の公共ホールの枠にとらわれない自由な発想を生かそうと、ボランティアの市民で非営利団体「STスポット運営委員会」を組織し、ホール運営を委託した。委員会の方針は、ルールをなるべく作らず、この先、この空間がどのように活用されるかによって柔軟に対応してゆこうというものであった。オープン当初は、平台や暗幕もなく、会議室を思わせる"裸の空間"であったから、関係者がみな手探りだったのだ。

 

 そして10年、STスポットでは、演劇・ダンス・音楽・映像・美術などの創造活動が活発に展開されることとなった。特に演劇は、開館3年目より、若手劇団の公演が毎週末行われ、地元では演劇のメッカとして知られるようになった。10年間の利用劇団は160を数え、うち60劇団がSTスポットから誕生した。貸館における演劇利用の増加に伴い、設備を必要に応じて改築・拡充していったことや、利用劇団による演劇フェスティバル「スパーキングシアター」(90年~)の開催が弾みとなって、新しい演劇コミュニティが生まれた。

 

 私はオープンからこのホールの運営に携わり、いかに多くの人々が表現の場を必要としているのかを痛感した。思えば、かつてSTスポットは、「マルチ・スペース」として紹介されたが、今では「小劇場」と呼ばれるようになった。劇場と名乗るほどの立派な設備は今もないけれど、「自らのエネルギーをもってすればどんな空間も劇場となり得るのだ」という小劇場の心意気を実証する場になったのだ。私たちはこれらの活動を広く紹介したくて、10周年事業として小冊子「STスポット活動記録」を編纂した。本書には、10年間に行われた878本(貸館593/自主285)の公演データ、彼らの思いや主張が詰まったチラシ126点、そして関係者60人からの寄稿文や談話などを収録した。

 

 「STスポット」という一つの小空間の足跡ではあるけれど、公共ホールの資料として、また、同時代の表現をめぐるテキストとして、ご覧いただけることを願っている。

 

「STスポット活動記録1987-1997」 A4判、96ページ、500部限定、1000円
[問い合わせ]STスポット Tel. 045-325-0411

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