一般社団法人 地域創造

舞台芸術活性化事業の報告

 「舞台芸術活性化事業」は、地域における文化的な潜在力を活性化する試みとして、総合プロデューサーに鈴木忠志氏を迎え、昨年から実施している実験的な事業です。全国から3地域を選び、各地域で活躍する演劇人と全国的に活躍する演劇人との共同作業によって、舞台作品を創造・発表するもので、地域が独力では企画しづらい他の地域での公演の機会も提供しています。

 

 本年度は、右の通り、地元の演劇人が充実している青森県、公共ホールのネットワーク事業が盛んな北部九州の福岡県飯塚市、そして首都圏公演の主催を引き受けていただいている埼玉県の3地域で事業が行われました。

 

 青森県の『休憩室』は、弘前劇場の主宰者として何度も東京公演を行っている劇作家・演出家の長谷川孝治さんがプロデュースを行いました。見所は俳優陣で、青森、岩手、秋田、宮城、山形で活動する劇団の看板役者たちが一堂に会し、地域の底力を見せつけました。青森県が文化振興ビジョンの策定を機に取り組んだもので、県内では舞台芸術の「北の中心」形成を図ろうという気運が盛り上がっているそうです。

 

 飯塚市では、この事業初のオリジナル・ダンスに取り組みました。舞踊家の竹内登志子さんが現地に1カ月間滞在し、地元オーディションで集まった初心者と一緒に、飯塚の町から想を得た『nostalgia』をつくりあげました。

 

 埼玉県は、地元のアマチュア劇団のスキルアップを目的として、2年連続でこの事業に参加しています。今回は、演劇を生涯学習の一環として位置づける桶川市教育長の青山孝行さんが率いるシアターDACの晴れ舞台を、彩の国さいたま芸術劇場のスタッフが全面協力してつくりあげました。シアターDACは、桶川市民ホールの育成事業として実施された舞台芸術土曜学校の卒業生によって、96年に結成されたアマチュア劇団です。劇団員が220名というマンモス劇団で、今回のプロとの共同作業はいい刺激になったのではないでしょうか。

 

●舞台芸術活性化事業に関する問い合わせ
財団法人地域創造総務部事業課
御園生和彦 高橋友彦
Tel. 03-5573-4056

 

●青森県『休憩室』
高等学校の職員休憩室を舞台に繰り広げられる教員たちのドラマ
[作・演出・地域プロデューサー]長谷川孝治
[出演]長谷川等(浪岡劇場)、山内健司(青年団)、安倍聡子(青年団)、金野むつ江(六面座)、佐々木司(無人駅)、福士賢治(弘前劇場)、李丹(添田事務所)ほか [美術・制作]三浦孝治(弘前劇場)
[日程]97年11月5日~28日
[会場]浪岡町「中世の館」ほか県内4会場
[主催]青森県舞台芸術活性化事業実行委員会
※彩の国さいたま芸術劇場公演(97年11月22日、23日

 

●飯塚市『nostalgia(ノスタルジア)』
かつて筑豊炭田の中心地として栄え、今はのどかな風景を見せる飯塚の町から想を得た作品
[構成・演出・振付]竹内登志子
[出演]オーディション・メンバー8名、竹内登志子
[作曲]佐藤容子
[オブジェ提供]上田淳子
[美術協力]九州女子大学
[日程]97年10月22日、23日
[会場]飯塚コスモスコモン
[主催]飯塚市教育文化振興事業団
※彩の国さいたま芸術劇場公演(97年12月6日、7日)

 

●彩の国さいたま芸術劇場『ホテル・ヒューマンデッド』
ホテルを舞台に繰り広げられるコメディ・タッチの「平成版・父帰る」
[作・演出]青山孝行
[出演]森山周一郎、シアターDAC
[制作スタッフ]立木定彦(照明)、松野潤(美術)、彩の国さいたま芸術劇場(音響・舞台監督)
[日程]97年11月29日、30日
[会場]彩の国さいたま芸術劇場小ホール

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