公演鑑賞や施設見学を盛り込んだコース内容 2月17日~20日
2月17日から20日まで、東京都世田谷区の世田谷パブリックシアターでステージラボ世田谷セッションが開催されます。さまざまな施設や催し物の集中する東京での開催とあって、新国立劇場で開催中の舞台芸術フェアの見学をはじめ、研修会場を飛び出したゼミが数多く実施される予定です。
参加者は、ホール計画コース17人、ホール入門コース26人、演劇コース19人、音楽コース22人の計84人。今回のラボの模様は4月号以降で詳しくレポートしますが、今号では、各コースの特色について、コーディネーターのコメントを交えながら紹介します。
●ホール計画コース
今回のラボでは、都道府県・市町村の担当部局で公立ホールの建設計画・構想等に携わる職員に対象をしぼった「ホール計画コース」を設けました。コーディネーターは草加叔也氏(劇場コンサルタント/空間創造研究所代表)
「今回はフィールドワークを取り入れていこうと考えています。プログラムの中にいくつかの都内の主要施設の見学や、劇場での公演鑑賞を盛り込み、その上で改めてそれぞれのホール計画、建設において検討すべき点を議論したいと思います」
実際に事業を実施している他コースのホール担当者との交流を通じたネットワークづくりも課題です。
●ホール入門コース
今回も最も応募者の多かったのがホール入門コース。コーディネーターは、津村卓(財団法人地域創造チーフディレクター)。入門コースも、夜の公演鑑賞を実施する予定です。
「自主事業を実施する際に一番の基本は自分の目で見ること。ホール担当者には、公演を直接見て、自分のホールでやりたいかどうか判断してほしい。今回はちょっとハードですが、2夜連続で公演鑑賞を行い、その後に皆で議論をしたいと思っています」
また、公共ホールの屋台骨でもある貸し館と自主事業の連携のあり方や、教育普及、市民参加、ボランティアなど公共ホールをめぐる基本的なトピックスについても議論する予定です。
●演劇コース
演劇コースでは、会場となる世田谷パブリックシアターのディレクター佐藤信氏にコーディネーターをお願いしました。
「演劇コースでは、まず、演劇に関する基礎的な知識を、現代演劇の歴史的背景から現状、今後の展望という流れに沿って学びます。次に、実際の上演事業について企画・制作・資金調達などの業務の内容と処理方法について考えていきます。それらを踏まえ、世田谷パブリックシアターと関わりの深い演出家の方を複数パネリストに迎え、地域演劇の実践について参加者の皆さんと議論してみたいと思います」
また、世田谷パブリックシアターの活動の大きな柱であるワークショップについては、「現在、『ワークショップ』という言葉が一人歩きしていて、混乱している傾向も見受けられますので、今回、公共劇場のアウトリーチプログラム(教育普及活動)を考えるなかで、その意味を改めて整理してみたいですね」
●音楽コース
音楽コースのコーディネーターは、東急文化村開設以来、オーチャードホールの企画・制作・運営を手がけてきた東急文化村企画運営部長の仁田雅士氏。
「今回のステージラボでは、コンサート企画に関わる実践的な作業や、そのための基本的な知識の蓄えといったところに主眼をおきたいと思っています。まず、参加者に各々のホールや財団で来年度実施予定のコンサート企画を持ち寄ってもらい、その中のいくつかを題材として、渉外、宣伝、広報、券売などについて検討してみたいと思っています。今回のステージラボが東京で行われることのメリットを最大限に生かせるような構成にしたいと考えています」
●コーディネーター・プロフィール
○草加叔也(ホール計画コース)
1957年、岡山県倉敷市生まれ。舞台芸術上演施設の基本構想から施設計画に関わるとともに、公演活動にも技術監督として直接携わる。89年には芸術家在外研修員として渡英。現在、劇場コンサルタント/空間創造研究所代表として活動。さらに、社団法人劇場演出空間技術協会理事、劇場芸術国際組織日本センター副会長、東海大学非常勤講師(劇場計画担当)。
○津村卓(ホール入門コース)
1956年大阪生まれ。大阪芸術大学を卒業後、大阪の情報誌プレイガイドジャーナルで企画を担当。85年、大阪ガスの扇町ミュージアムスクエアの立ち上げに参加し、副支配人兼プロデューサーに就任。87年より兵庫県伊丹市立演劇ホール(アイホール)チーフプロデューサー。97年よりびわ湖ホールの演劇部門に関わる。95年より財団法人地域創造芸術環境部チーフディレクター。
○佐藤信(演劇コース)
1943年東京生まれ。劇作家、演出家。66年に創立した劇団自由劇場の活動を経て、71年に演劇集団68/71黒テント(現黒テント)を設立。大型テントを使った全国移動公演を20年間に及び継続。80年以降、アジア各国の現代演劇との交流を深め、黒テントを中心に独自の演劇活動を行うと共に、ヨーロッパ各国でも上演活動及び共同作品づくりに活発に取り組む。演劇活動以外にも、オペラ、舞踊、シアターピースなど幅広い分野の劇場作品への関わりも深い。世田谷パブリックシアター・ディレクター。黒テント演出部所属。ほかに個人劇団「鴎座」主宰。
○仁田雅士(音楽コース)
1949年兵庫県生まれ。私立国立音楽大学音楽学部器楽科中退。74年二期会事務局へ入局。79年財団法人二期会オペラ振興会へ移籍、数々の二期会オペラの制作に携わる。85年同財団を退職。株式会社東急百貨店に入社、複合文化施設Bunkamuraの開発準備に参加。89年株式会社東急文化村設立に伴い同社に移籍、主にオーチャードホールの企画・制作・運営に携わる。現在は同社企画運営部部長としてBunkamuraの各ホールの企画制作・運営を統括。
●ステージラボ世田谷セッション
[日程]2月17日~20日
[会場]世田谷パブリックシアター
●ステージラボに関する問い合わせ
財団法人地域創造芸術環境部
研修・交流担当 杉田敏 西村直己
Tel. 03-5573-4066 Fax. 03-5573-4060