関東
●千葉県南総文化ホール(千葉県館山市)
〒294 千葉県館山市(たてやまし)北条740-1
Tel. 0470-22-1811 泉水等
97年6月1日オープン
県南部地域の文化活動のための施設として設置された県内4番目の県立文化会館。大小2つのホール、展示ギャラリー、7つの楽屋、練習室などを有する。南房総の温暖な気候を生かした南欧風の建物が特徴。パティオ(中庭)やフェスタプラザ(芝生広場)を配し、建物の白い外壁には草花をあしらうなど、明るく開放的な雰囲気。大ホールはオーケストラピットも使用可能な多目的型。寄贈された緞帳(どんちょう)は南房総の自然などを取り入れた図柄に、「南総里見八犬伝」にちなむ数珠を光ファイバーで演出。開館記念事業として千葉県少年少女オーケストラ演奏、錦織健テノールコンサートを実施。展示ギャラリーでは県南地域で活動する作家の作品を展示。
[設置者]千葉県
[運営者]千葉県文化振興財団
[ホール席数]大ホール1200席、小ホール300席
[設計者]株式会社岡田新一設計事務所
北陸・中部
●ビーチホールまがたま(糸魚川市ふれあいセンター)(新潟県糸魚川市)
〒941 新潟県糸魚川市(いといがわし)寺町4-3-1
Tel. 0255-53-1670 丸山幸三
97年5月27日オープン
北に日本海、南に北アルプスを望むというロケーションに整備された福祉・文化複合施設。多目的ホールと研修交流棟からなり、小スタジオ、研修室、創作活動室のほか福祉機器展示室などを備える。施設的にも障害者が利用しやすいよう配慮。ホール名は糸魚川原産ひすいの加工品である古代の装飾品勾玉にちなむ。ホールは、可動席設置時には1階可動席が2階の固定席と連続、可動席収納時には平土間としても利用できる。舞台には昇降式の迫り舞台を採用。今後は市民の芸術文化発表の場として、住民主催の企画などに幅広く開放していく予定。
[設置者]糸魚川市
[運営者]糸魚川市
[ホール席数]472席
[設計者]株式会社久米設計
●名古屋市天白文化小劇場(名古屋市)
〒468 名古屋市天白区(てんぱくく)原1-301
Tel. 052-806-8060 山内薫
97年6月13日オープン
名古屋市が各区に順次整備している文化小劇場の5館目。バスターミナルや貸店舗などが入る地下鉄駅前広場複合ビル内の4、5階部分に設置。アルミの反響板、舞台奥に演出効果を出す"切り穴"を備えるホールはプロセニアム式。オープン記念事業として、天白区を中心に活動している団体に4日間にわたって舞台を無料開放する。また、一般公募による参加者を交え、地元に伝わる昔話を音楽劇に構成した『地蔵ものがたり』や、「音楽と遊ぶ街」をキャッチフレーズとする地元商店街振興組合との共催により行うモーツァルトをテーマにした「トーク&コンサート」、棚瀬友理バレエ団特別公演など多彩な企画を実施。
[設置者]名古屋市
[運営者]財団法人名古屋市文化振興事業団
[ホール席数]350席
[設計者]宮本設計
近 畿
●ひがしうら文化館(サンシャインホール)(兵庫県東浦町)
〒656-23 兵庫県津名郡東浦町(ひがしうらちょう)浦148-1
Tel. 0799-74-0250 村上浩二
97年6月1日オープン
図書館、ホール、ギャラリーからなる複合施設。ふるさと創生資金の活用方法をめぐる住民アンケート結果に基づいて建設された。ホールは可動式の多目的タイプ。自主事業の企画・運営は町民ボランティアによる「創造委員会」を経て決定。表方を「さんさんくらぶ」、裏方を「オペレータークラブ」と呼ぶボランティア・スタッフが、ホール運営をサポートしていく。オープニング記念イベントとして、茂山千之丞の狂言、桂文福一行の落語会、戎洋子のピアノコンサートを実施。ギャラリーでは淡路島の海と人々を描く地元画家の大石可久也の作品を展示。
[設置者]東浦町
[運営者]東浦町
[ホール席数]350席
[設計者]東畑建築事務所
トピックス
●緑の日本平に静岡県舞台芸術公園オープン
静岡駅から車で約30分ほど行くと、市街地の近くにこれほど清々しい緑があるのかと驚くほどの丘陵地帯、日本平があります。その一角に静岡県が約50億円をかけて整備した静岡県舞台芸術公園が完成し、8月21日から柿落とし公演が行われます。
この舞台芸術公園は、約21ヘクタールの敷地内に磯崎新設計による小劇場、野外劇場、稽古場、宿舎などが茶畑を縫うようにして点在し、稽古場の大きな窓や宿舎からは豊かな緑と駿河湾が見渡せるという別天地。ここを運営するのが、演劇、舞踊、オペラなどの舞台芸術の振興を目的として静岡県が100パーセント出資して設立した財団法人静岡県舞台芸術センター、略称SPACです。
SPACの特徴は、専門家の観点から一貫して事業を指揮する芸術総監督を置いたこと、創作拠点を完備していること(舞台芸術公園内の施設と1998年に静岡駅裏に開場する国際コンベンションセンター・グランシップ内に設ける400人収容の舞台芸術専用劇場)、芸術活動を行う芸術局を設けたことが挙げられます。舞台芸術を創造するための専属メンバーである芸術局員(下記組織図参照)は3年契約の年棒制(最低240万円)で、応募者総数400名余りの中から選ばれた約50名が採用されました。
ちなみに専属俳優の顔ぶれは、高校を卒業したばかりの新人から仕事の傍ら40年来セミプロ的に演劇に関わってきた人など、18歳から63歳までの16名(内7名が静岡県出身)。また舞踊部門はジャン=クロード・ガロッタ(現フランス・グルノーブル国立舞踊センター芸術監督)が3年間指導にあたることもあり、子どもの頃からクラシックバレエなどのレッスンを積んできた新進ダンサー8名が揃いました。
こうした芸術局員を束ねる芸術総監督が、自ら主宰する劇団SCOTの拠点として21年前から富山県利賀村で滞在創作型芸術村運営に取り組んできた演出家の鈴木忠志氏です。鈴木氏は82年に利賀村で第1回世界演劇祭を開催して以来、海外の芸術家を招聘するフェスティバルを数多く手がけ、アーティスト同士の交流によって創作の可能性を広げる試みを続けてきました。
今回もガロッタを招いたのをはじめとして、99年には第2回シアター・オリンピックス(*)の静岡受け入れを決定するなど、舞台芸術公園とグランシップを拠点に静岡の地で国際的な舞台芸術交流事業を展開していく予定です。
SPACの事業の柱としては、国際的な舞台芸術の招聘、専属俳優・専属ダンサーによる公演活動、人材育成事業(市民参加による体験創作劇場の開催)の3つがあります。本年度事業としては、8月21日からのSPAC創立記念公演を皮切りに、8月から9月の毎週末(金・土・日)に稽古を行い、ロッシーニのオペラ『シンデレラ』を下敷きにした音楽劇を創作する体験創作劇場(10月発表予定)、専属ダンサーによる新作公演(振付・ガロッタ、8月の記念公演と12月)、専属俳優による新作公演(演出・鈴木忠志、年明け)などを予定しています。
また、シアター・オリンピックスに向けた準備にも取りかかり、2年後の99年にオペラ版として発表する鈴木忠志演出『リア王』をまずは演劇版として柿落としのプログラムで披露する予定です。
* シアター・オリンピックス
鈴木忠志氏を含む国際的な演劇人8名によって提唱された芸術祭。数年ごとに各委員が持ち回りで芸術監督を務め、芸術祭を開催する。第1回を95年にギリシアで開催。
●静岡県舞台芸術センター組織図
●静岡県舞台芸術公園
[所在地]静岡市平沢100-1
[敷地面積]約21ヘクタール
[施設概要]野外劇場「有度(うど)」(収容人員550人、ベンチシート)、小劇場「楕円堂」(収容人員150人、可動式)、稽古場(床面積約1200平方メートル)、宿舎棟、食堂棟、事務棟
[設置者]静岡県
[運営者]財団法人静岡県舞台芸術センター
[設計者]磯崎新アトリエ
●財団法人静岡県舞台芸術センター
[設立]平成7年7月21日
[理事長]石川嘉延
[芸術総監督]鈴木忠志
[基金]98年までに20億円を予定
●SPAC創立記念公演日程
グループ・エミール・デュボア公演『夢、真夏の道の』(8/21~23)、鈴木忠志演出『リア王』(8/22~9/7)、『アンティゴネ』(8/29、30)、専属ダンサー公演『かわったDr.ラビュス』(9/4~6)、鈴木忠志演出『ディオニュソス』(9/12~14)
[問い合わせ]Tel.054-208-4000