一般社団法人 地域創造

新潟県小木町 アース・セレブレーション '96

 かがり火が夕闇に包まれ、舞台が渋い光に映し出されるのを待って、太鼓の音が鳴り響いた。その音に合わせながら観客は体をゆり動かす。今年のアース・セレブレーションは羽茂町の能舞台公演を初日に8月19日よりスタートした。

 

 アース・セレブレーションは和太鼓を主体に舞台公演などで活躍している「鼓童」が、本拠地を小木町へ移したのを機に1988年に始まった。「たたく」をテーマに、鼓童が世界各地で出会ったアーティストを佐渡へ招き、自然の中で、文化活動に携わる人々と共に民族文化の可能性を探っていこうというものだ。コンサートなどの主会場は小木町「城山公園」。フリンジ会場は「木崎神社」「港湾広場」「中心街」などで、「地球の祝祭」が繰り広げられる。また、埠頭公園ではフリーマーケットができ、大勢の人で賑わう。

 

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 今年の特徴は日程を1週間に延長、小木町以外でコンサートを実施したことがひとつ。羽茂町の草刈神社能舞台での幽玄な雰囲気の中での公演がそれだ。2つめにはワークショップを充実したことがあげられる。佐渡の地元に目を向け、小木町の方々の指導による「小木おけさ」ワークショップなど9コース実施した。特に「小木おけさ」ワークショップは21日の夜、町内会の協力を得て、北前船の名残のある「浜町」通りを田楽提灯で飾り、多数の町民を巻き込んで「おけさ踊り」を実施した。また、22日はワークショップの成果の発表の場として小木町の城山公園へ集合し、一般客も楽しんだ。

 

 後半を迎えた23日頃より、外国人の数が急にふくれ上がり、雰囲気が盛り上がる。数年前事業が始まった頃は物怖じしていた店のおばさんも、今では片言の英語を交えての対応だ。毎年来ている外国人は馴染み客もいる。あいにく天気予報は悪天だが、城山公園で実施を決定。予報どおりの雨。雨に打たれながらもアイルランド音楽が城山を覆い、観客はその調べに溶け込んだ。参加者の熱気のせいか終了間際には雨も上がった。24日は体育館がダンスホールに替わった。ビートのきいたリズムにのって若者たちはダンスに熱中だ。

 

 その翌日は鼓童の舞台ということで、早くから前売り券は完売。好天に恵まれ当日券も1000枚の売れゆきで、入場者数は2600人と発表された。大太鼓の腹の底まで響く音に圧倒され、会場いっぱいのアンコールの声に『彩り』が演奏されて、今年の幕を閉じた。

 

 今年のコンサート入場者数は延べ5500人(初年度は2600人)。小木町でのコンサート入場者は4900人。男女比は4対6、外国人比は1対6だった。30代以下の若い人が7割を占め、リピーターの数が増えているのも特徴だ。

 

 草の根の国際交流、伝統芸能などの文化サークルへの刺激、自主性と創意工夫を発揮するヒューマンネットワークの形成など、アースの与えてくれるものは多い。肌で何かを感じるとき、流れる汗も快感に変わる。

 

 来年は10周年記念事業を計画している。来年の夏も佐渡で会いましょう。

(小木町役場企画商工観光課 菊地賢一)

 

●アース・セレブレーション '96
[主催]アース・セレブレーション'96実行委員会
[日程]8月19日~25日
[プログラム]
◎コンサート

 

19日「鼓童・能舞台公演」、23日「アイルランド音楽の夕べ」、24日「ダンスホール・ナイト」、25日「祝祭」

 

◎フリンジ

 

21日「小木おけさ踊り」、22日「COLLA-BORATION」、23~25日「鼓童、文弥人形、春駒、黒川さんさ踊り、鬼太鼓」

 

◎ワークショップ

 

▽合宿タイプ
「岩下徹・ダンス・ワークショップ」、「小木おけさ」、「夏の鼓童塾スペシャル」、「竹六─Bamboo Rock」、「南佐渡の暮らしと遊び」
▽連続タイプ
「サンバで遊ぼう~みんなでカーニバル」
▽単発タイプ
「アフリカン・ダンス・ワークショップ」、「和太鼓ワークショップ」、「黒川さんさ踊りワークショップ」

 

※このほか、講演、映画、写真展、フリーマーケット、鼓童村公開などを実施

 

地域創造レター 今月のレポート
1996年10月号--No.18

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